2008年 11月 07日
夜半、意識が夢の淵から引き上げられた瞬間、 自分が自分であることくらいは漸く覚えているけど、 じゃあその自分が今一体幾つで、どんな暮らしをしている人間なのか までは、俄かに思い出せないことがある。 認知症の前兆だろうか? 次に目が覚めた時に為すべきことは、なんだったか? 学校にはもう行かなくていいのか? 明日は何処の現場だっただろう? 隣の部屋で聞こえる寝息は誰なんだっけ? おそらくはそんなに永くない時間だと思うのだけど、時制から切り離された ように淡い意識だけが闇を彷徨う。 さまざまな解釈不能なキーワードに頭は捉われ、辛くもなければ、楽しくもない。 このまま意識だけの幽霊のような存在でいれば、むしろ万能なような気がする。 出来ればいつまでもこのままでいたい。 しかしそんな思いはやがて下腹部を震わせる尿意によって裏切られ、あっというまに 現実現在の自分に関するデータが脳のなかに蘇る。 「しょうがない」 まず右肩を少し持ち上げ、上体を捻らせ頭部を転がし布団の端から転げ落ちられる 位置まで移動し、続いてそろそろと立ち上がる。 一気に立ち上がると腰に激痛が走るのだ。 身体を起こし、部屋のドアーを開け、急な階段を降りてトイレに、 開け放った小さな窓から入ってくる夜気に雨の匂いが混じる。 バイクの後ろに積んでいる箱の蓋を、昨夜間違いなく閉めただろうか? あの中には確か今明日上々堂に持っていく絵本が数冊はいっているはず。 不安になり、トイレから出るとそのまま玄関を出る。 私道の端に停めたバイクは霧雨に霞んだ街灯のハレーションに阻まれよく見えない。 わざわざ傘を開くのも面倒なので、寝巻き姿のまま雨の中に踏み出し、近づいて 見る。 よかった、ちゃんと閉まってる。本当に心配性なのだ。 未だ眠っているような末端の神経が顔に降りかかる霧雨によって心地よく、醒まされて 行く。………気持ちイイ。 気持ちイイけど、これってやばいよなぁ。 今何時だか判らないけど、これで部屋に戻ったらまた目が冴えて寝られないに決まってる。 なんだかわけもなく辛くなる。 無為に無為を積み重ねているだけのような生活。 まぁみんな似たようなものかなぁ? 空を見上げると駅の方向にあたる北東の空がうっすら明るい。 やれやれ、このまま霧の中に溶けてしまいたいよ。
by shanshando
| 2008-11-07 17:37
| ■原チャリ仕入れ旅■
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