上々堂(shanshando)三鷹

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2008年 12月 21日

火事と古本

どうでも良いことだが、私の父は消防士だった。
はじめは市役所の勤めであったが、わけあって、中年以降に左遷されて
なった消防士だったから、いきなり管理職からのスタートで、実際に自分で
火を消したことはないのじゃないかと思うが、それでも司令長時代は現場に
出ていたから、無線受令機という装置が突然わめきだすと夜中であろうと、
食事中だろうと制服に着替え迎えの車が来るのを待たなければならず、
ある年などは家族だけのささやかなクリスマスパーティの途中に飛び出して
行ったことを覚えている。

昔の火消しや消防団じゃないから、消防士の世襲というのは聞いたことがな
いし、あんなせわしない仕事は頼まれても私はなりたくなかったが、古本屋
というのもこれで結構火事に縁のある商売で、買取に行った先で以前にあった
火災で父祖伝来の蔵書を失ったなどという話はしじゅう聞くし、また逆に
昔焼失してしまった蔵書を再び手に入れる為に店を訪れてくれるお客様も結構
いる。

ことが微妙な問題を含んでいるので、詳しくは言えないが、昼間下見に窺った
お宅でその夜火事があり、買い取ればそうとうの商売になりえた機会を逸した
こともある。
火事は古本屋の仇だろうか?

関東大震災や大空襲の焼け野が原では、文字の書いているものなら例え
焼け焦げていようが、湿気ていようが飛ぶように売れたと聞いたことがある。
人は危機に瀕し希望を失いそうになると、書物の喚起する想像力に救いを
求める………いや今はヴィデオとかゲームとかもっと安直に想像力の切り売り
をする媒体があるからこれは昔話かもしれない。

大震災や空襲の火災も凄かったには違いないだろうが、日本史上最大の
火災とされているのは明暦の大火で、一説によるとこれは世界の三大火災の
ひとつにも数えられるということだが、どうだろう?

この明暦の大火が上々堂のある当地三鷹にも縁があるのは、この火災で焼け
出された神田連雀町の町民たちが幕府の命によって移住させられたのが、
今に残る下連雀上連雀の地名の由来で、してみると古書街のある神田神保町と
当地三鷹は同じ地霊によって繋がれているというのは、いかにも酷いこじつけですね。

こじつけはともかく、昨夜ちょっと思い当たって、江戸時代の歴史を順を追って確認
していたところこの明暦の大火にまつわる様々な言説が案外面白く、ついつい読み
込んでいたのだが、今朝(といっても正午開店ですが)一番に飛び込んできたお客様
はなんとこの明暦の大火に関する資料をお求めの方で、あまりの不思議な偶然で
しばし話し込んでしまった。
やっぱり古本と火事、なにか関係があるのかしら?

年末は火事が多いです。どうか皆さんご用心。秋刀魚焼いても本焼くな。
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by shanshando | 2008-12-21 14:31 | ■原チャリ仕入れ旅■


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