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上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 04月 27日

買い取り譚

2005年4月27日木曜日 晴れ

朝から、出張買取でちょっと多目の文庫を捌く、
ざっと1500冊あったのを400冊に絞り込んで買い取った。
10年前、商売を始めた当初は100や200程度でもビビッた
もんだが、最近は1000や2000じゃ驚かない。
特に今日のは、きれいなお座敷にあらかじめ縛って置いて
あったので助かった。

いろいろなお宅に買い取りに伺うと、じつにいろんな状態に
置かれた本に出会う。今日はそんな体験談の中から一席。

パンッ!(釈台を叩く音)
今を遡ること5年前、もちろんまだ上々堂は御座いません。
5月のある日、興居島屋の帳場の電話が鳴り響きます。
「へい、ゴゴシマヤでございます。」
「あのぉ、そちらでは本を買い取っていただけますでしょうか?」
と、問う声は歳の頃なら二十七、八、三十でこぼこ粋な年増と
言いたいが、もうちょっとだけ、ほんの二、三十歳年上の
お姉さん。
「へいへい、本の買取ときたらこちとら、たとえ火のヨコ水の
ソバ。何処へでも伺いますよっ!」
「あの、父が亡くなりまして、本当はもうすこし片付いてから
お願いしようと思ったのですけど・・・」
「なにを仰いますやら、片付けなどは、私どもがやりますですヨウ。」
・・・とお調子をかましながら、住所を伺い、次の日、隣りの町内の
コーポの4階に伺った。

余談ですが、古本屋の買取は4階建ての4階が多いですな。
つまり、5階建てになると、エレヴェーターが付く、エレヴェーター
がつけば自分で運んで、気に入った店を探して歩くが、4階までは
エレヴェーターがないですから・・・・。

閑話休題、とにかくその教えられた403号室のチャイムを押した。
「はい、お待ちしておりました。」
なんと返事の声がしたのは、隣りの405号。
「あれ、部屋を間違い・・・」
「いえいえ、そちらでよろしいんですの。あの、今開けますから。」
と、言って開けられた部屋を見てびっくり。
所謂2Kの部屋の二つの部屋、キッチン、果ては風呂場に至るまで
本が天井まで山になっている。
本が山になっているという言葉を聞くと普通、本が平積みに幾重にも
なっている様を思い浮かべるだろうが、そうではないのだ。縦横無尽
あっちゃこっちゃ好き放題に向いた本が砂利を盛ったように積み重な
っているのだ。
「どーせーちゅうんじゃい、オバハン!」
などとは、上品が売りのゴゴシマヤさんは言わなかった。
「奥様、少し、大変な状況のようですね。」
「そうですの、なんだか退職後、母が死んで一人暮らしだったもので
、私たちも住まいが遠いもんですから。知らない間にこんなふうになっ
てしまって・・・。それででですね、あのぉ」
「はい、」
「こちらには住めなくなったもので、数年前隣りの405も借りたんですの。」
「ああ、はい。」
「そちらも、今同じですの」
「へっ?」
「あの、おなじ状況ですの」
「・・・はい。」
「明後日までに明け渡すことになってますので、なんとか今日明日で片付
けていただけますぅ?」
「寝ゴト云うんやったら、寝てからにせーよ、オバハン!」
・・・とは云わずにゴゴちゃんが汗と涙の二日間の苦闘を始めるという、「古本
屋ど根性物語」パンッ!クライマックスはまさにこれからですがっ!
ちょうど時間となりました~♪つづく話はまた今度ぉ~。

by shanshando | 2005-04-27 23:19 | ■原チャリ仕入れ旅■


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