上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 07月 21日

古本屋の掃苔帖 第十一回 星セント

1981年5月に始まった「オレたちひょうきん族」は
すでに人気上昇中だったビートたけしの人気を更に
絶頂へと向かわせた。
その翌月、星セントはサンケイホールでサミュエル・
ベケットの「ゴドーを待ちながら」に出演している。
未だ無論「田園調布に家が建つ」で売り出した人気は
衰えていないが、このへんですでに両者のその後の
明暗が見えているような気がする。
よく言われるように日本の笑芸人は森繁以来、歳を
とると役者に転向したがる傾向があるが、この時点
でのセントは33歳で、これは将来に対する保険的な
布石というより、純粋に不条理劇に対する興味があった
のだろう。
インテリなのだ。
セントとたけしは、色々共通点のある芸人であるが、
決定的な違いはたけしには自分の知性が前に出てしまう
事を嫌う江戸っ子的な含羞が、後に映画監督になっても
なおあるが(作ってる映画は段々ひどくなるね)、
セントには何か自分がインテリであるとひけらかさないま
でも、そう思われる事を拒まないところがあったように思う。

セント・ルイスがその後の漫才ブームに残れなかった理由
として、その仕かけ人横澤彪に嫌われたせいだといわれるが、
嫌われたというより、セント自身が背をむけたのではないかと
思う。

「俺たちに明日はない、キャッシュカードに残はない」
「きゅうり、ピーマン、ナス別荘」などの言葉遊びのギャグは、
そこに更に毒を加えた、「赤信号みんなで渡れば怖くない。」
に駆逐され、セント・ルイスはやがてブラウン管から姿を消す。

2002年肺がんのため右肺摘出、2003年コンビ解消、
2004年7月22日肺がんのため死亡
享年56歳
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by shanshando | 2005-07-21 23:17 | ■古本屋の掃苔帖


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