上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 07月 27日

古本屋の掃苔帖 第十五回 外村繁

昭和23年12月、極度の貧窮の中、栄養失調と
心臓病で永年の苦楽をともにした、妻とく子を失
った外村はその経過を「夢幻抱影」として作品化
翌24年4月に発表、とく子への溢れんばかりの
愛情を哀切きわまりない文章に綴っている。
しかし、一年も経ずすぐに次の女房てい子とめぐ
りあい、その節操のなさをも昭和25年発表の作
品「最上川」に自ら描いている。

後妻のてい子は楽天的な性格の人だったらしく、
32年に外村に上顎腫瘍、35年にてい子自身に
乳癌が発覚してからも自分たちの事を癌夫婦とい
う意味で「ガン・フー」と名付けたりしたが、36年
7月28日外村が死ぬと後を追うように4ヵ月後の11月
26日死んでいる。てい子の性分が晩年死の間際
まで創作への意欲を失わなかった外村をささえた事
は間違いない事実だろう。

享年 外村繁 59歳 てい子51歳
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by shanshando | 2005-07-27 23:45 | ■古本屋の掃苔帖


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