上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 08月 03日

古本屋の掃苔帖 第二十一回 ハンス・クリスチャン・アンデルセン

ハンス・クリスチャン・アンデルセンという作家の
独特の湿り気の強い想像力は、彼の父親から
受け継がれたものらしい。
22歳で10数歳年上の元娼婦の洗濯女と結婚
した靴職人は、幼い息子を劇場に連れて行った
り、「キリストだって俺たちと同じ人間さ」と語った
りするような、当時の庶民としては非常に「困った
親父」だった。彼は人生を呪っていたのだ。

しかし、この親子の相似点は非常に類人猿に近い
その容姿と、確たる根拠もないのに自分には秘め
られた立派な資質があり、今の不遇はまったくもっ
て今だけのもので、未来には光明が待ち受けてい
ると信じ込んで止まない強情さにあった。
父親は結局、中々やってこない光明を自ら出迎え
る為、ナポレオンの軍に従軍し、あえなく戦死する
が、息子はしぶとく、歌手の夢が破れれば劇作家
、劇作家がだめなら詩人というふうに夢のほうを器
用に入れ替え、金持ちや権力者にとりいり、ついに
は後世の人をして「童話の父」といわせしめるような
名声を勝ち取った。

随分意地悪な書き方だが、この作家がそれまでの
たとえばグリムなどとははっきり違う創作性(つまり
民話や伝承に取材するのではなく、ゼロから話を
紡ぎだした事)を示せた理由が、このコンプレックス
をバネにする生き方と大いに関係があると思うのだ。
自己愛や虚栄心が強く、神経質で性的なあいまいさ
をぬぐえず。一生を独身で終わった彼はしかし王族
と食事をするような名士に成りあがり。
1875年8月4日肝臓がんのため後援者メルキオール
の家で死ぬ。享年70歳

アンデルセンの童話はあまりにも湿っぽいため、祖国
デンマークの他では日本ぐらいでしか人気はないようだ。
そういえば「みにくいあひるのこ」にしても「マッチ売りの
少女」にしてもどこか演歌テーストですな。

追記 新着情報!
本日は朝からさまざまな良い本が入荷しましたが、
その本のうち数冊をご紹介!

まず文庫、林忠彦「カストリ時代」朝日文庫 上々堂価格1500円
(例の 『ルパン』での太宰の写真が載ってる本!)
そして次はDavid LaChapelle「LaChapell Land」 上々堂価格6000円
(これは近々日本発売予定の本のアメリカ版、日本での予約価格は7900円)
最後に吉本隆明 坂本龍一「音楽機械論 ELECTRONIC DIONYSOS
上々堂価格3300円
(未使用ソノシート付き!)

それぞれ明日からはネットでも買えます。勿論一冊ずつしかないので、店
かネットどちらかで売れたらおしまいですから早い者勝ち!
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by shanshando | 2005-08-03 23:08 | ■古本屋の掃苔帖


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