上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 08月 06日

古本屋の掃苔帖 第二十三回 岸本水府

片岡敏郎とならんで日本のコピーライターの
草分けとされる、岸本水府だが本業は川柳作家である。
 かんざしをさす時腕が太くみえ
 行水が三つ四つ見えて駅に入る
 大阪はよいところなり橋の雨
はんなりとした上品な調子で生活上の細やかな情緒を
唄っており、古川柳とはまた違った味わいがある。

広告の仕事では、「福助足袋」や「壽屋」、「グリコ」での
仕事が有名、とくにグリコ時代に新聞広告として作った
「豆文」はたまらなくかわいい。
 アサガホニ グリコトオナジ イロガアル
 ナツヤスミ ニッキトグリコワスレズニ
 チヤップリンモ グリコガダイスキ
こういったコピーに水府自身が描いたというイラストがつく。
紙面に空きが出来た時にという条件であらかじめ版下を
渡しておいたらしいが、これがあたりグリコは先発の森永
・明治をおおいに脅かしたらしい。

水府に関しては田辺聖子の「道頓堀の雨に別れて以来なり」
(中央公論社 上下二冊)という本が詳しく、面白い。
水府以外にも同時代のさまざまな川柳作家の群像が描かれ
ており、この二冊からあらたな古書探求の分野が広がりそうな
本である。

昭和40年8月6日、胃癌のため死去するが、彼がその発行に
一生をかけた川柳雑誌「番傘」は今も続いている。

享年73歳
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by shanshando | 2005-08-06 00:05 | ■古本屋の掃苔帖


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