上々堂(shanshando)三鷹

shanshando.exblog.jp
ブログトップ
2005年 08月 17日

古本屋の掃苔帖 第三十二回 深沢七郎

突然、生意気なことを言うようだが、私は最近45歳を
越して、抱かれ上手になりたいとつくづく考えている。
考えてみれば、今まで抱かれ下手の為さまざまな損を
してきた。
深沢七郎は生前、「生まれ変わったら娼婦になりたい」
と言ってたらしい。
娼婦になるのは、それなりの才質が必要だろう。
美醜はさして問題ではない。
愛想愛嬌も重要ではないような気がする。
じゃ、何が必要なんだと聞かれると困る。
わかっていれば、私は古本屋なんぞやってないだろう。
「パンパンは舞踊家の先生。」と言ったのは土方巽で、
それはつまり、例えば客の想像力に身を委ねることを
言ってるんだろうと理解していたのだが、どうやら違った
らしい。
良い娼婦というのは、客に抱かれる事はしても、身を委ねたり
はしないらしい。
抱かれ上手とは、抱かれながら身を委ねない術で、これは
素人の域をでているらしい。難しいものだ。
らしいらしいばかりで恐れ入るが、実地に体験したことがない
からしょうがない。
深沢七郎を読んでいると、この人は本当に抱かれ上手になり
たかったんだなと、思う。
関係ないが、三島由紀夫という人は抱くことも、抱かれることも
あまりよく判らなかったんじゃないかと思う。
まぁ、45歳で死んでるんだから、あと二十年も生きれば少しは
抱かれ上手になったかもしれないけど。

深沢七郎、1987年8月18日ラブミー農場の居間の愛用の
床屋の椅子に抱かれて死去。死因は心不全。
「私が生まれたということは屁と同じ作用だときめたが、本当は
もっとオカシイことだと思う。……だから死んでゆくこともタイした
ことではない……」なんとまぁ、娼婦らしいアダなお言葉ではな
いか。
享年73歳。
[PR]

by shanshando | 2005-08-17 22:45 | ■古本屋の掃苔帖


<< 古本屋の掃苔帖 第三十三回 北一輝      古本屋の掃苔帖 第三十一回 堀内誠一 >>