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上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 08月 21日

古本屋の掃苔帖 第三十六回 長谷川時雨

長谷川時雨というと、日本の美人の総大将ということに
なっておりまして、且つ青鞜社の客員でもあらせられる。
いやそうでなくとも、私ごときが女性の容姿に関して
どうこう云うということは天人ともに赦さざるところな
わけですが……、美人かなぁこれ?
いや、講談社の近代日本文学大事典の写真を見てるんで
すけど、イヤ御髪もけっこう、着物の着こなしもさすが、
でもこの眉毛が…、たぶん描いてるんだと思うんだけど、
必要以上に垂れ下がりすぎてると思うんですけど。
これがひょっとしてあれかなぁ、アンツルの「巷談本牧亭」
に出てくる、昔の流行の眉毛で、なんとかっていう芸人が
電車の中でその極端な例を見かけて、抗議したという…。
変だよね、これじゃ。まぁ元の顔はいいんだろうけど。

とにかく、この人は「近代美人伝」の著者で、劇作家としては
六代目菊五郎をはじめ当時の名優との仕事が多く、また雑誌
「女人芸術」を通じて多くの女流作家を世にだしたキャリア
ウーマンでもある。
才色兼備ということなのでしょう、眉毛はともかく。
ガチガチの女権主義者じゃなく、いろいろ柔らかい部分がある
のがよいね。
はじめの不幸な結婚生活で身も心もボロボロになった後、いよ
いよ本格的に劇作を中心とした文筆活動に入るわけだけど、大
正5年頃というから多分37歳の時、12歳年下の三上於蒐吉を
悩殺しちゃって、という言い方は語弊があるか、於蒐吉が勝手に
メロメロになっちゃって、大正8年には同棲しちゃう。
ということはやっぱり相当ないい女だったんだねぇ。眉毛は…
クドいか。

「近代美人伝」はいろいろな美人をとりあげているが、中でも
樋口一葉にご執心だったみたい。死ぬ直前にも「まだ、もっと
一葉を書かなきゃ」という意味のことを云ったらしい。
昭和16年8月22日、白血球夥粒細胞減少症で亡くなっているが、
於蒐吉っつぁんとは添い遂げたのかねぇ。彼の方が三年ばかり後
で死んでるけど、気になるねぇ。(アレ?なんだか調子がおかしい
ねぇ?)
享年62歳。

長谷川時雨に関してはリンク集から「森茉莉街道をゆく(+長谷川時雨)」
をご覧下さい。

by shanshando | 2005-08-21 13:57 | ■古本屋の掃苔帖


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