上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 08月 25日

古本屋の掃苔帖 第三十九回 田村隆一

酒とミステリーそして詩は男にとって孤独な時間を愉しむ
なによりの友かもしれない。
今日のような台風の夜は、誰にも邪魔される事のない
場所でその三つに浸りたいものだ。

田村隆一は昭和27年、本人の言によれば「神のパン」を
得るために、当時まだ弱小出版社だった早川書房の社員
となり海外ミステリーの翻訳・編集の仕事をする。
早い話が「酒代欲しさに」ということだ。
当時ミステリーの版権は安くて、資金があまりないなら探偵
小説をやればよいと、早川の社長に入れ知恵したのは、ほか
ならぬ田村であったらしい。
なにせ、クリスティーの版権が10年契約で何万冊売れても、
3万円ぽっきりだったらしい。
「田村隆一ミステリーの料理事典」という本にはその頃の逸話
(江戸川乱歩や植草甚一も登場する)が書かれていて興味
深い。
そのまま早川に居続ければ、きっと重役になっていたのだろう
がポケットミステリーが100点になったのをキリに退社する。
もし、退社してなければ詩人としてあれだけの仕事は出来なか
ったかもしれない。

酒仙としても有名で晩年の著作「スコッチと銭湯」は、その題名
に騙されると銭湯ファンはいささかがっかりするかもしれない。
殆ど八割は酒の話題で、銭湯の話は巻末にスコッチ書いてるだ
けなのだ。(ああ、疲れてる。)

1998年8月26日食道がんで死去、享年75歳
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by shanshando | 2005-08-25 23:23 | ■古本屋の掃苔帖


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