上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 09月 01日

古本屋の掃苔帖 第四十三回 竹久夢二

求龍堂刊 岡崎まこと「正伝 竹久夢二」を読む。
随分と誤植の多い本だが、「装本美術の先駆」と
いう項で夢二が恩地孝四郎に与えた影響に言及
していて、伊上凡骨という彫師や平井孝一という
刷師の名前を恥ずかしながら初めて知った。
特に伊上凡骨は、この時代流入してくる西洋の
印刷に対抗して木版の彫師として相当な仕事を
した人らしく、興味深々。

夢二が例えば、色の材料に日本在来の植物性
の材料を主につかって、鉱物性のものは用いな
かったとか、でも黄色はフランスのルフラン製か
英国のニュートン製をつかったとか。何処かから
持ち込んだ裂地を見せてこの色は出ないかとこ
だわったり、そういう話を読むとやっぱり只の女
たらしのオッサンではなかったのだと改めて想う。

外の絵描きが下絵がみごとで、刷り上りはそれに
劣るのに対して、夢二が自分で指示して刷らせた
ものは下絵よりすっきり見栄えするように作った
という事など読むと、その影響を受けた恩地のそ
の後の仕事に繋がっているのがよくわかる。
このへんは青江舜二郎「竹久夢二」からの抜粋が
多いようだが、この本も読んでみる必要がありそう
だ。

さて末期だが、昭和6年から8年にかけてアメリカ
ヨーロッパそして台湾を旅した夢二は旅行中から
すでに体調を壊しており、昭和9年信州富士見高原
療養所に入院、当初咽頭結核といわれたがやがて
肺壊疽をおこし、9月1日死亡する。
享年49歳。
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by shanshando | 2005-09-01 00:13 | ■古本屋の掃苔帖


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