上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 09月 17日

古本屋の掃苔帖 第五十八回 ジミ・ヘンドリックス

「自由」という概念は勿論幻想にすぎないけど、
もし貴方が、幻想でもいいから味わってみたいと
思うなら、用意しなければいけないモノが最低二つある。
ひとつは、適度な「檻」(何が適度かは人によって様々)
もうひとつは、そこに自分を閉じ込めてくれる「敵」である。

ジミ・ヘンドリックスにとって軍隊は悪くない場所だった
ような気がする。
そこには、かっこうの「檻」と「敵」が揃っていて、適度の
緊張の中彼は「薬」と「オナニー」にふける事が出来た。
もし、1964年に軍隊のほうから愛想尽かしをされなかったら
彼はずっとそこに居たかもしれないし、そうしたら天才ギター
リストとしての彼の活躍はなかっただろうけど、本人にとって
何が幸せかはわからない。

軍隊を抛りだされた彼は、2年後チャス・チャンドラーの引きで
イギリスでブレイクし、死の年までの4年間を疾走するわけだが
、この間も勿論「檻」と「敵」は存在していて、それは軍隊より
始末の悪い相手だったらしい。
どちらにしても、「檻」と「敵」と「薬」と「ギター」は彼には
付き物で、折角のテクニックを持っているんだから「薬」なんて
やめたら、という事はナンセンスでしかない。そのどれが欠けて
もジミ・ヘンドリックスはジミ・ヘンドリックスではなかっただ
ろう。
薬を餌にして彼を操っていたギャングですら、「ジミ・ヘンドリ
ックス」という奇跡をこの世に登場させるために、神が準備した
小道具のひとつだったのだ。

1970年9月18日、ジミ・ヘンドリックスは薬とアルコールのや
りすぎで、ゲロを喉に詰まらせて窒息死している。
享年27歳。

尚、ジミ・ヘンドリックスの人生についての本を読んでみたいと
思う人はノエル・レディングの「ジミ・ヘンドリックス(リアル・
エクスペリエンス)」以外の本を読んだほうがいい。ここに書か
れているのは八割がたノエル自身の事で、題名を「ノエル・レデ
ィング」と換えたほうがいいくらいだ。
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by shanshando | 2005-09-17 22:26 | ■古本屋の掃苔帖


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