上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 10月 26日

古本屋の掃苔帖 第八十九回 今和次郎

1.人通りの少ない裏小路。垣、電信柱など、前面に何物か
 あることを要す。多くその物件は人の丈より高し。ときに
 は高からざる物もあり。
2.夜間は前面に物件を必要とするも主要道路を省みざるものの
 ごとし。
3.裏小路の長い場合、その中央部はあまり使用されず。これは
 確実ならず。
4.排水溝を利用することあり。
5.天然の崖を利用することあり。これは崖の上にても下にても
 同様なり。
何だかわかりますか?
川添登著 ちくま学芸文庫「今和次郎」から抜き書きした路上
放尿の調査の一部です。路上放尿、立ち小便ですね。最近昔ほど
見なくなりました。街ではコンビニなどでトイレを貸してくれる
ようになったお陰でしょうか。
見なくなったからといって、これで又日本の貴重な風習が無くな
って行く…。と悲しむほどのものじゃないし、あれやっぱり犯罪
だから無くなっていいんだろうけど。ちょっと淋しい気もします。
正直、酔っぱらって薄暗い路地の塀に寄りかかるようにして立ち
小便しながら見上げた夜空は何ともいえなかった。

今和次郎はへんな学者である。柳田国男のもとで民俗学をやって
いたのが、考現学を始めちゃったため破門になったという。
歴史上最初の考現学の調査は大正14年の銀座街頭での風俗調査と
いう事になっているが、実はそれに先立つこと二年前に震災のため
家を無くした人たちの建てたバラック建築を調査している。
そして調査するだけでなく、それを美化するべくバラック装飾社
というのを立ち上げている。
好奇心が行動を呼び、行動が次なる好奇心を呼ぶ。じつに楽しそう
である。今和次郎のスケッチは見飽きがしない。
展覧会をひらくと面白そうだ。

考現学の人、今和次郎は1973年の明日10月27日心臓麻痺で亡くな
っている。享年85歳。お墓は小平霊園にあるらしいから、今度の休み
はお墓参りがてら、お墓の調査の真似事でもやってみるかな。
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by shanshando | 2005-10-26 21:45 | ■古本屋の掃苔帖


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