上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 11月 10日

古本屋の掃除苔帖 第百回 平野 威馬雄

19世紀の終わりの年、すなわち1900年にフランス系
アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれた。
混血児として差別をうけて育ったが、才能に恵まれ、
わずか18歳で「モーパッサン選集」を翻訳して、天才
の名を欲しいままにしている。
ところが、人生至る所に陥穽ありというやつで、21歳
のある日、鼻風邪をひいた時、人に薦められ使ったコカイ
ンが元になって以後ジャンキー生活に浸り込む事になる。
当時の東京にはコカイン窟が何カ所かあったらしい。
この辺の顛末がちくま文庫「隠者の告白」に書かれている。
元々「話の特集」に書いたものを出版したのだが残念なが
ら、今絶版。古本でもわりと見つけにくい本である。

ジャンキーになってからも大杉栄と「ファーブル昆虫記」の
翻訳などの仕事をしたりしているが、次第に狂躁が激しくな
り、1930年ついに自らすすんで精神病院として有名な松沢
病院に入院している。

戦後はフランス文学者として活躍するかたわら、UFOやお化
けにも興味をもちそのへんの著作も今けっこう古本愛好家に
人気がある。
その波乱にみちた前半生では、先述した大杉栄のほか宮武外
骨とも接点があったりするらしく、研究し掘り下げると近代
史の裏面が見られそうである。

フランス文学者で詩人でUFOやおばけの研究家で、かつ混血
児の救済運動家でもある平野 威馬雄は1986年11月11日、
心筋梗塞のため86歳で亡くなっている。
長女は平野レミさん、甥にトークライブをやっている「ロフ
トプラスワン」の席亭 平野悠氏がいる。
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by shanshando | 2005-11-10 17:24 | ■古本屋の掃苔帖


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