上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 11月 27日

古本屋の掃苔帖 第百十五回 津村謙

昭和9年に公開された「フットライト・パレード」という
映画はジェイムス・ギャグニーが主演し、その中で歌われた
曲が「上海リル」である。私などの世代には吉田日出子が
「上海バンスキング」というお芝居で歌っていたのが懐かしい
が、元々日本でこれを歌ったのは歌川幸子という歌手で、その
翌年にはディック・ミネも歌っている。
そして、この曲の続編という事で戦後日本で作られたのが、
今日の主人公 津村謙の歌った「上海帰りのリル」である。
こういう事は著作権上認められることなのかどうかよく知らな
いが、とにかくこの「上海帰りのリル」は大ヒットした。
〈リール、リールどこにいるのかリール 誰かリールを知らないか〉
という箇所の高音がセクシーで「ヴィロードの歌声」などと言われた。

津村謙は大正12年12月12日という、なんだ軍事教練のかけ声の
ような日に生まれていて、そのせいでもあるまいが、昭和18年に
デヴューしたがじきに召集され、戦後古賀政男の弟子として再出発
している。
そして始めて得たヒット曲が映画「愛染かつら」の主題曲、この時
芸名を津村謙にした。映画の主人公 津村浩三とそれを演じた上原謙
をくっつけたのだ。
美声のうえ容姿にも恵まれていて、「上海帰り…」のあともヒットを
かさねたが、 昭和36年11月28日早朝、杉並区神明の自宅ガレージ
で排気ガスによる一酸化中毒のため絶命しているのを発見された。
飲酒の形跡はなく、また遺書などもなかったようだから自殺ではなさ
そうだが、変死といってよいだろう。わずか37歳であった。
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by shanshando | 2005-11-27 13:55 | ■古本屋の掃苔帖


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