上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 12月 16日

古本屋の掃苔帖 第百三十一回 山川惣治

山川惣治といえば「少年王者」や「少年ケニヤ」などの
少年ターザンものが有名だが、古書ファンの間では、
昭和24年8月号から「漫画少年」に連載された。山川
の自伝的要素もあり、のちに梶原一騎に「あしたのジョー」
を書かしめた。「ノックアウトQ」という作品が人気がある。

テレビもなく、映画も気安く観られなかった当時の少年
には、山川や先日紹介した小松崎茂の作品は憧れの的だった。
生活が深刻な時も、又逆に単調な時も人間は物語に共同幻想
をもとめ依存したがる。そのもっとも大きな例が聖書に代表
される神話だろう。やはり、人間には物語りが必要だ。
しかしそれが誰かに仕掛けられているとしたら。

編集者という人種と酒席を共にすると、しきりに「仕掛ける」
という言葉が使われる。いわく
「XXが売れてるみたいですね。」
「ああ、あれは○○社の△△さんが仕掛けているの」という
具合だ。
我々は仕掛けられているらしい。
ブームを仕掛けて、商業として出版を成り立たす。というのは
必要なことなのだろう。しかし、それでは宗教みたいで「俺は
気持ち悪い」という人は、少なからずいるはずだ。
話題になった本は、兎に角読まないという人。
そういう人は、古本屋にどうぞ。古本屋は一応流通の埒外にあっ
て、そうしたやり手編集者や、取り次ぎなどに影響されにくい場
所であるはずだ。本来は。

山川の作品はおおむね刻苦勉励の末、困難に打ち勝つ少年の美談
が描かれている。敗戦からたちあがり、高度成長に国家を向かわ
す人間作りのタメに大いに仕掛けられたのだ。というと多分言い
過ぎである。

山川惣治は1969年には神田の「美学校」でペン画教場を教え
ていて、その教え子のひとりに、我師匠 なないろ文庫ふしぎ堂
の田村氏がいたりする。

山川惣治、1992年12月17日死去 享年84歳
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by shanshando | 2005-12-16 21:01 | ■古本屋の掃苔帖


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