上々堂(shanshando)三鷹

shanshando.exblog.jp
ブログトップ
2006年 01月 18日

古本屋の掃苔帖 第百五十七回 星一

「薬クソウバイ」という俗言を昔聞いた。
並べて「八百屋はハッソウバイ」と言っていたから、おそらく
「九層売」あるいは「九層倍」とでも書くのだろう。
つまり薬品を扱う仕事は、沢山お金が儲かると言う事なのだろう。
オクスリを扱うお仕事で大変楽に利潤を得ることが可能なのは、
暴力団関係の皆さんが携わっていらっしゃることでもよくわかる。
中毒になると止められないのは、古本も同一かもしれないが、こ
ちらはどういうわけか儲からない。
あんまり儲かるから、昔は国家がこれを先導して扱った。
先日、西木正明の「其の逝く処を知らず」という小説を読んだが、
これは戦前から大陸で阿片王とよばれた里見甫という人物をモデル
にしているが、今、次期総理候補ナンバーワンの呼び声が高い安倍
晋三氏の祖父岸信介なども相当彼の阿片商売の余得に預かっている
ことが描かれている。まぁ当時は国策なわけですから、役人が麻薬
売りからカスリを取ったって良い訳だ。どうせ阿片に溺れて身体を
壊すのは植民地の人間なんだから…。

ところで、この手の植民地での事業には三井、三菱をはじめ大手資本
も当然参加して稼いでいるが、製薬サイドでこれに協力した魁が今日
の主人公星一である。ごぞんじSF作家星新一の父親である。幼い頃から
杉山茂丸(夢野久作の父親)の書生をしていたらしく長じてからも随分
世話になったらしい。
また、その夫人は解剖学者小金井良精であり、小金井の夫人は鴎外の
妹であるから、えーと、とにかくみんな親戚なのだ。
さまざまな人脈を利用して、一代で相当の事業を展開したが、経営者
としてはむしろ淡白であり過ぎたらしく、息子新一(本名親一)が相続
した時には事業は破綻状態で、新一は即座に事業を人手に渡したらしい。
星一は1951年の明日、1月19日ロスアンゼルスで客死している。
[PR]

by shanshando | 2006-01-18 21:37 | ■古本屋の掃苔帖


<< 古本屋の掃苔帖 第百五十八回 ...      古本屋の掃苔帖 第百五十六回 ... >>