上々堂(shanshando)三鷹

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2006年 01月 25日

古本屋の掃苔帖 第百六十三回 藤沢周平

どの新聞であったかは忘れたが、1990年の池波正太郎の
訃報記事に藤沢周平の
「僕には池波さんの鬼平は書けない…」という談話を紹介
していた。一体どんなシチュエーションでこういう談話が
語られたのであろう?
当時九品仏にあった「なないろ文庫」の店番だった私が想像
したのは、当時も今も変らず売れまくっている「鬼平犯科帳」
の続編を藤沢に書いてくれないかという注文が、文藝春秋から
出されたのではないかという事だった。
いや、今から考えるとまさかそんな失礼な事を云いだすわけは
ないのだが、古本屋の店番としては、店頭に出せばかならず売
れるシリーズが終わってしまうというのは、もったいない気が
したのである。

藤沢周平の作家としてのスタートは遅い、オール讀物新人賞を
とったのが44歳、翌年「暗殺の年輪」で直木賞受賞。本格的に
人気作家となったのは50代からである。
若い頃肺結核を罹病しており、その為に教師の職を辞する事に
なるのだが、その療養期間にした大量の読書がのちに作家とな
る為の素養となった。怪我の功名といえるかもしれないが、禍
福はあざなえる縄の如し、療養はもうひとつ余計な贈り物を藤沢
に与える。
右肺上葉切除の大手術のおりの輸血が原因で肝炎に感染していた
のである。晩年発病したこの病に悩まされ続け、ついに1997年の
明日、1月26日他界する。
享年69歳
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by shanshando | 2006-01-25 20:44 | ■古本屋の掃苔帖


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