上々堂(shanshando)三鷹

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2006年 02月 23日

古本屋の掃苔帖 第百八十九回 神代 辰巳

青森県にかつて浪岡町という町があり、町おこしの一貫と
して「中世の里なみおか映画祭」という企画を1992年から
続けていた。映画館のない町で自治体が支援して、コマーシ
ャリズムにはのりにくい名画を上映しようという誠に結構な
企画で、こういう事にこそ税金が使われて然るべきなのだが。
14年目にあたる昨年、浪岡町が合併して青森市になったのを
うけてこの企画は終了させられることになった。
それは、まぁしょうがあるまい。地方自治体の運営は色々難
しいのだろう。
問題は、その最終回に企画者が神代辰巳の作品を上映しようと
したところ、いわゆる成人映画にあたる神代作品を上映するな
ら助成金を出さないし、会場も貸さないと市側が云いだし、結
局神代作品の上映は断念されたというのだ!
成人映画の上映は市民の同意が得られないというのだ!
開いた口が塞がらないというのはこの事だ。未だにこんな事を
云いだす自治体あるとは。
彼等ははたして例えば「赫い髪の女」を見ただろうか?「一条
さゆり・濡れた欲情」を「櫛の火」を?
私は大学生だった頃、京都にあった「京一会館」という映画館
でこれらの作品を観て、限られた予算(ロマンポルノは一律
750万円)でこれだけのものを創りだす人々に憧れて、後年
思いあまってロマンポルノは駄目だったが、ピンク映画の現場
を踏んだ事もある。
神代辰巳には縁もゆかりもない身ながら、また、青森市に納税
した事もないけれど、黙っちゃいられないのである。小津や
溝口ばかりが日本映画じゃない。現に外国の映画祭などでは
神代の作品は好評を博していると聞く。
性描写が中心になるのは、日活ロマンポルノの宿命である。一
定の時間に決められた数のSEXシーンが入る。だがそれの何が
いけないのだ。それだから上映するのに市民の同意が得られない
というのなら、青森市は図書館から多くの文学作品を廃棄しな
くてはいけなくなる!

と、まぁ怒ってみたけれど、じつは元々役人なんぞには何の期待
も元々ないのだ。奴らに文化がわかるようになることは永遠にな
いし、それでいいのだ。文化庁お墨付きのポルノなんて観たくも
ない。
しかし、新宿の第二国立の前通るたびに思うけど、あれってちょ
っと鹿鳴館だね。オペラなんかに莫大な金使う前にもっとやるべき
文化事業が有ると思うんだけど、まぁあれも暴き立てるといろんな
腐敗の巣窟なんでしょう。

神代辰巳は1995年の明日、2月24日に67歳で他界した。死因はど
う調べても判らなかった。判り次第付け加えます。

急性肺炎のため東京都世田谷区の有隣病院で亡くなられました。
肺結核を患っていたと聞いたこともあります。だそうです。ありがとうご
ざいました。
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by shanshando | 2006-02-23 16:59 | ■古本屋の掃苔帖


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