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上々堂(shanshando)三鷹

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2006年 05月 04日

古本屋の掃苔帖 第二百三十六回 ナポレオン・ボナパルト

ワーテルローの戦いに敗れたナポレオンが流されたセント・ヘレナは
アフリカ西海岸から2800キロ離れた大西洋上の孤島である。
17世紀半ばからイギリス東インド会社の保有地となり、現在もイギリ
スの統治下にある。
スエズ運河が建設されるまでは、インド洋への補給基地として使われ
ていたが、現在は住む人も少なく、経済的にもイギリスのお荷物にな
っているという。
この面積わずかに410キロの小島で、流人の悲哀を味わせられながら、
ナポレオンはそのおよそ半世紀にわたる生涯を閉じる。
同じ流刑でもエルバ島の時は、島の領主としての地位を与えられてい
たが、セントヘレナでは数々の制約を課されて監禁に近い生活を強い
られた彼は、精神的にも肉体的にも最悪の状態にあった。
島の総督ハドソン・ロウは、腐ったワインを飲ませるなどして彼を侮
辱したという。たとえ流人の身とは言え、イギリスの木っ端役人でし
かない男にまで侮られるほどに彼は身心ともに弱り切っていたのだろう。
幽閉生活5年余を経て遂にこの地で没した彼の死因は、胃潰瘍説、
胃癌説、ヒ素による毒殺説とさまざまな説があるが、未だ特定されて
はいないようである。
最新の説のひとつには、胃腸の不調を訴える彼のために医師が施した
浣腸が原因だったというものがある。使用した注射器が不潔だったせ
いだというのだ。それが本当に死因であるかどうかは別にして、この
嘗ては全ヨーロッパに覇権をひろげた英雄にとって浣腸ほど恐るべき
物はなかったのではないか?彼は若いころから重傷の痔に悩まされて
いたはずである。

ナポレオン・ボナパルトは1821年の明日、5月5日に死去している。

by shanshando | 2006-05-04 14:35 | ■古本屋の掃苔帖


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