上々堂(shanshando)三鷹

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2006年 06月 27日

古本屋の掃苔帖 第二百六十六回 松本サリンで殺された人々

オウム真理教の信者たちが、全くデザイン的なセンスのないコス
チュームで、東京の随所に出没していた時。おそらく大部分の人
達は、個の判断・思考力を奪うカルト集団に恐ろしさ、気持ち悪さ
を感じていただろう。
オウムの用いた洗脳といわれる教化の手段は、古来いろんな宗
教家や企業家、政治家、軍人が用いた手法で、特に彼らの発明
だったわけではない。
例えば大日本帝国の軍国少年の育成にも同様の方法が使われ
たし、卑近な例ではBOOKOFFなどの店員用のマニュアルなど
がそうである。
大声で同じ言葉を繰り返し叫ばせる、仕事への対応のパターンは
マニュアルの枠をはみ出させないようにさせる。そうして集団の一
部としての個という意識を高めさせ、集団あっての個であると思い
込ませる。
事実そうしたほうが集団としての能率は飛躍的にあがる事は、BO
OKOFFでもオウム真理教でも証明されている。

BOOKOFFは合法的な営利企業であり、オウム真理教は結果的
に明白な犯罪集団であったわけだから、それを同様に語るのはおか
しいと思う人がいるかもしれないが、その見方自体が集団のほうが
個人に優先するという思想だと思う。

問題は、個としての判断力や思想を放棄して、集団の意志に身を委
ねる事を心地よしとする人間が多くなってしまったといことだろう。
みんなと同じ事をしていれば、自分が個別に評価される事ないから
楽だ。という思想が「いじめ」の問題につながり、その反射として「ひき
こもり」なども生んでいるのは明白である。

子供の本を扱っていると、親達が自分の子供をマニュアルに沿って
育てようとしているのがよく判る。お店にはいった時の挨拶やマナー
など一人の母親が言うことは、必ず他の母親も言う。子供がうまく
出来ないとやり直しをさせ、叱る。叱り方がつい激しくなり子供が萎縮
すると、「何故できないの?」という言葉で、無意識に子供に失格の烙
印を押す。
はっきり言って、ジャリタレとして芸能プロにでも売り飛ばそうという下
心でもないかぎり、そんな躾けは逆効果もいいところ。
おそらく有名幼稚園のお受験本でも読んでそうするんだろうけれど、そ
んなもの教育でもなんでもない。
子供は感覚の森のなかに立っている。言語的思考によって構築された
大人の論理でその森を塗りつぶす前に、自分達が子供の感受性に近づ
いてみるべきではないか?
そうして自分の感性や思考に自信を持てる子供を育てない限り、勉強は
出来てもオウムのようなカルト集団に取り込まれる弱さを持った人間が
これからも増産されるだけである。
愛国心教育を推し進める国家にはそのほうが都合がいいのかもしれない
が。

12年前の今日、オウム真理教というプチ国家によって長野県の松本市の
住宅街に散布されたサリンによって7人の人命が失われた。
明日、6月28日はその中の数人の方達の命日にあたる。
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by shanshando | 2006-06-27 15:29 | ■古本屋の掃苔帖


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