上々堂(shanshando)三鷹

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2006年 08月 08日

古本屋の掃苔帖 第二百八十七回 ヘルマン・ヘッセ

ヘルマン・ヘッセの生涯を追っていると、ドイツ、スイスの様々な地名
辿ることになる。
カルプ マウルブロン テュービンゲン バーゼル ガイエンホーフェン
ベルン モンタニョーラ

ドイツのシュヴァーベン地方カルプで生まれ、マウルブロンで神学校に
はいり、そこをドロップアウトしたのちに、テュービンゲンで書店員となり、
そこも辞めてバーゼルで古書店員になり、「郷愁」を発表後、ガイエンホ
ーフェンではじめの結婚をし、ベルンに転居し、
そして42歳でスイス テッスィーン州のモンタニヨーラという小さな村に
落ち着き、そこで人生の後半の43年を過ごし没している。

この終焉の地モンタニョーラに移った年は、彼にとって作家としても、家庭
人としても、そして経済的にも破綻を迎えた時だった。
日本で言う厄年にあたる男の42歳はやはりヨーロッパでも、人生の変調
期にあたるのだろうか?
努力によって回避できるかどうかは別にして、まったく原因に心当たりの
ない不幸というものはありない。
多くの厄年を実感した男性ならおわかりと思うが、すべて身に覚えのある
とまでは言わぬまでも、少なくとも原因に心当たりがある不幸が狙いすま
したように、その歳の男に集中砲火を浴びせるのだ。
いっそそれは纏めてやってくるからこそ、かえってサバサバ乗り切りえる
のかもしれない。
捨てる神あれば拾う神あり、ヘッセの場合は救い主は、イタリアに程近い
南スイスの豊かな陽光であったらしい。
1877年7月の暖かな夕刻に生まれたこの人物は、生涯温暖な気候を求
める質があったらしく、その人生の前半における流転では、神学校入学以
外はすべて生まれ故郷より南に向かっている。
モンタニョーラに落ち着いた後半生で、彼は「シッダルータ」や「荒野の狼」
「ガラス玉遊戯」などの代表作を生み出している。

1962年の明日8月9日、ヘルマン・ヘッセはおそらく生まれた日よりも尚暖
かな陽光に包まれて85歳の生涯を閉じている。
死因は、出血性白血病。
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by shanshando | 2006-08-08 17:07 | ■古本屋の掃苔帖


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