2006年 08月 12日
現在、日本にはどれくらいの汲み取りトイレが残されているのだろう? 私が子供の頃(昭和中期)地方都市では、学校ですら水洗化されて いる所が少なかったし、郊外に出ると其処此処に「野つぼ」というモノが あって、畑に撒くための人糞を蓄えていた。 昭和後期の生まれの家人は、昨日書いた山梨県白州に嘗てボランティア スタッフとして滞在した時、汲み取りトイレ体験を強いられたことを、 未だに悪夢のように語るし、元々衛生的(?)な環境を親から与えられて 育ったため、例え水洗でも公衆トイレなどの不潔なトイレは苦手なようで、 そんな処を使用するくらいなら、我慢して体調を悪化させたほうがまし、 と思うらしい。 年弱の家人だけではない、私の母は2・26事件の年の生まれで、つい 30年くらい前までは、自宅も汲み取りであったクセに、今は不潔なトイ レなどは、近づきもしない。 勿論私だって、汚いトイレより綺麗なトイレが好きに決まっているが、若 い頃から肉体労働をしていた関係で、いろんな現場のトイレで慣らされた。 千葉の何処だったのか飯場は凄かった!思い出してもウッとくる。 イヤ具体的に書くのはやめとくけど。読むとそれだけで食欲をなくす人が 出るといけないから。 とにかく、過剰とも思えるような衛生国家に住む日本人に戦争なんて出 来るだろうか?と考えた。 綺麗なリビングのソファーに座って、ワイドビジョンで観る戦争はフィク ションとかわりがない、いつか匂いつきテレビが出来ると、蛆のたかる死 体の匂いや、それしか残された物のない食べ物が饐えている人々の生活を 報道が伝えることはあるだろうか? フローレンス・ナイチンゲールに関して、私たちが子供の頃に読んだ偉 人伝の逸話はほとんど創られた嘘だったらしい。 実際の彼女はクリミヤ戦争の従軍で軍人の官僚気質に阻まれ、具体的な 功績をあげられなかったという、彼女がむしろ活躍したのは虚名を恥じ、 隠れるようにして帰国してから後に行った衛生統計学を根付かせる為の 政治的な運動を行った事にあったらしい。 創られた伝説とのギャップから、さまざまな評価をされるナイチンゲール だが、生々しい戦場の醜悪に接し、人智に寄るその解決を図ったという点 において、やはり偉人といっていい人だったのには間違いないらしい。 明日8月13日は、1910年に90歳で死んだフローレンス・ナイチンゲール の命日にあたる。
by shanshando
| 2006-08-12 16:47
| ■古本屋の掃苔帖
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