2006年 09月 01日
現代、どんな右がかった思想を持った、例えば安倍晋三とか、 石原慎太郎のような政治家だって、面と向かって「皇国史観」 を唱えるものはいまい。そんな発言をすれば、靖国参拝どころ の騒ぎではなくなるのは、必至なのだから。 しかし当然内心、彼らの思想の根幹には、「皇国史観」がある のは事実であるようだ。 勇気があるというべきか、正直者というべきか、あるいはアホと いうべきか、小泉の前の森首相は公の席で平然と「日本は神 の国」と言い放って、周囲を慌てさせた。何故慌てたかというと、 それは「云わないお約束」の秘密だったからだ。 小熊英二の「<日本人>の境界」を読んでいると、大日本帝国 が西洋列強に対抗するために、彼らの手法を真似て東アジア 一帯に植民地経営・領土拡大を行うため、いかにこの「皇国史 観」をでっちあげ、利用していったかが、綿密な資料の提示に よって明らかにされる。 ようするに、植民地にしろ領土制覇にしろ、他国の他民族を恭順 させる為には、いわゆる「飴と鞭」が必要なのだが、大日本帝国 の場合、国力の不足から鞭は不完全だったし、飴にいたっては 全くもっていなかった。 この場合飴とは、文化をさすわけだが。被占領民にしてみれば、 日本のように自らも欧米の文化を習得している途中にある国か らそれを学ぶより、直接欧米に教わったほうがいいわけだから、 日本なんていうチンピラがドスをちらつかせて、「俺んちの傘下 に入れば、いい思いさせてやるぜ」なんて言って来ても、 「イエ私あっちの、ピストル持ってる親分のほうが、力ありそうで すし、あっちにつかせてもらいます。」となっちゃうわけだ。 そうすると、チンピラは居直って、 「なにを、この野郎。俺んちには、天皇陛下っていう神様がいる んだぞ。おめぇ神様に逆らうんだったら、このドスで切り刻んじゃ うぞ。」ってなもんだ。 早い話が、子供のイジメと、統一教会の霊感商法がドッキング したようなもの。 姑息というか、情けないというか、どうすればこんな歴史に誇り が持てるんだろう? 先にも書いた森元首相は現役当時しきりに戦前の教育を称揚し ていたが、あれはあきらかに皇国史観による、全体主義の復活 を狙ったものであり、それに答えるようないわゆる「自虐史観」 批判も全体主義復活への潮流であることに、危機感を覚えてい る国民は多くないのではないか? 歴史上、日本の天皇ほど権力者に便利使いされてきた存在は ない。 現在、秋篠宮の出産問題に関する、人権無視とすら思える関心 のもたれ方も、皇室とか天皇に対する敬意とか、愛情というより は、全体主義への転換を可能にするシステムの保持のためとし か思えない。 天皇や皇族も考えてみれば、全体主義の被害者なのだ。 1861年9月26日、公武合体のいわば人身御供として、江戸へ 下向した和宮親子は、当時満年齢の21歳。重度の障害を持っ ていたため、殆ど箱入り状態で育てられた彼女には、江戸は とてつもない遠国に感じられたであろう。彼女を娶った将軍家茂 は、彼女への気遣いから側室を持つことをしなかったとされるが、 これは、後世作られた逸話で現実には、側室を持っていたらしい。 親子は純粋な人質だったわけである。 やがて、家茂は死に、徳川幕府は瓦解、戊辰の役では、甥になる 明治天皇に慶喜助命の手紙を書いたとされるが、以前書いたよう にこの時点での明治帝は、岩倉具視、伊藤博文らに孝明帝と共に 暗殺された皇子の替え玉であった可能性もあり、そうなると親子は 見知らぬ男に手紙を書いた事になるが、実は和宮親子自身にも 替え玉説があり、そうなるとこれはどういう事になるのか? とにかく和宮親子とされる人物は、1877年の明日、9月2日箱根 塔ノ沢で療養中亡くなっている。享年32歳 戦後徳川家墓所の売却に伴い、発掘された彼女の遺体には、両足 と左手に障害の痕跡があったが、毒殺等の証拠はとくに発見されな かったらしい。
by shanshando
| 2006-09-01 14:20
| ■古本屋の掃苔帖
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