上々堂(shanshando)三鷹

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2006年 09月 07日

古本屋の掃苔帖 第三百一回 東野英治郎

マスコミというのは、何故あからさまに偏向しているのだろう?
皇室に男子出生の報道を聞いていて、今回の一連の騒ぎには、
あきらかな性差別と人権侵害の可能性があることに触れたメデ
ィアは少なくともひとつもなかった。
街角でインタビューをしている映像も、全て同様の祝辞ばかりで
気持ち悪い。
中には、「日本が、いつまでも過去の歴史上の問題で近隣諸国か
ら、半ば恫喝に近い批判をうけるのは、1945年以降一度も自ら
すすんで、全ての元凶である『皇国史観』を批判否定しなかった
からであり、天皇制はもっと早期に廃止すべきであった。皇室の
中に生きる人々も、およそ人間として堪え難い種馬的扱いを受け
るのは気の毒だから、もういい加減廃止するべきだ。」というような
意見を持っている人も多い筈なのに、絶対にそういう報道はなさ
れない。

一体、天皇制というのは誰を幸せにする制度なのだろう?
「国民統合の象徴」という曖昧な存在のために、毎年多額の税金
が使われる。皇室に嫁いだ女性は著しい人権侵害をうける。
天皇や皇太子も、義務のように皇統の保持という科学的になんの
意味も持たないものを押し付けられ、随分苦悩しているようだ。
天皇は自らも前立腺癌を患い、観ていると皇后も随分健康状態が
良くないように思われる。人間だから、自分の息子の家族に新しい
命が誕生したことは嬉しいだろうが、その子が恐らくは将来選択の
余地なく背負わされる過酷な、そして非人間的な宿命を思う時、
心は安らかではないのではないか?

一体、誰が天皇制を必要としているのだろう?
まず、明らかなのはこれからこの国を全体主義に導こうとしている
為政者。
そうして、自ら物事を考えることを放棄し、世界像をテレビの中の
ドラマのように考えていたい大衆だろう。

昨日、テレビのなかで嬉しそうにはしゃいでいた人々は、イメージ
のソフトさだけを理由に安倍晋三の支持を表明する人達とそっくり
だ。彼等は嘗ては恐らく管直人を支持し、細川護煕を支持して人
達と同じである筈だ。つまり、政策や主張の中身なんてろくに理解
しようともしないで、イメージだけを支持する人達。高度成長以来
の豊かさに酔い、嘗てなめた辛酸を忘れ、考えることをやめた人達
まるで「水戸黄門」に出てくる庶民みたいだ。
たかがテレビドラマに何を目くじら立ててと思うかもしれないが、あ
のドラマを観ていると、
「お前たちを苦しめているやつらが、振り回している権力の大元の一
人がその爺さんなんだよ!」って言いたくなる。

日本人は敗戦後の数年を除いて、他国からの支配を受けた事がな
いので、権力者や支配者に対する警戒心が薄い。お上は、最終的に
は自分たちを庇護してくれると信じている。いわば奴隷的マゾヒズム
が染み付いているのだ。

東野英治郎はあしかけ14年、水戸黄門を演じている内、ロケで出か
けた先で、土地の老人たちに勘違いされて拝まれるようなことがあって、
辟易したという。精神的な自立心を失った人間にとっては、相手が誰で
あれ服従する対象さえあればいいのだ。もし朝鮮戦争の結果日本まで
北朝鮮が侵攻していれば、昨日テレビではしゃいでいた人々は今頃、
金正日を拝んでいるだろう。

東野英治郎 は「水戸黄門」を降板した12年後の1994年の明日9月8日
心不全のため86歳で他界している。
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by shanshando | 2006-09-07 15:31 | ■古本屋の掃苔帖


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