2006年 11月 07日
相変わらず風邪の熱に浮かされている。 日月は休んで、身体を休めるつもりが休めない。 不調を引きづったまま今週の営業に突入。 薬のせいか頭もいつもに増してぼやけている。 天気が良くて、午後からは風も止んだので店前の日向を眺めて、 さっきからもう何杯ほうじ茶のお替りをしただろう? 今日のお題は大好きな落語家、三遊亭金馬である。 言っちゃぁ悪いが、当代の拙い金馬ではない。 当代は今年喜寿だとかで、江戸東京博物館で記念の展示があった そうだが、いくら長生きも芸のうちといっても、歳食やなんでもいいと いうもんではない。まぁ当代はどうでもいい。 三代金馬を私は音源でしか知らない。四つの時に死んでいるのだから 当たり前だが、それでもどの噺家が好きかと聞かれて躊躇なく一番に 出てくる名前がこの金馬である。 こういうことを言うと、人に馬鹿にされるのだそうだ。 金馬は落語入門編、言語明晰で笑いのつぼも多いが、それがいけない んだそうだ。通好みではないらしい。芸に深みがないそうだ。 そういう意見の人を無理に折伏しようとはおもわないけれど、私は金馬の 音源を何度聞き返しても飽きない。細部に仕込まれた金馬独特の演出か ら、昭和初期の時代の匂いが甦るのだ。 金馬名演集の8に「艶笑小噺総まくり」というのがある。 早い話がエロ話ばかりを、とっかえひっかえ語っているもの。原典は江戸 小噺や和漢の古典小噺だが、これを語りつつ金馬は途中で腕時計を見て いる。テープで何故それが判るかというと、金馬自身が説明するからで、 こういうところが通に嫌われるところなのだが、普通噺家が着物姿の高座 で時計をしていると、ああ慌ててはずし忘れたんだなと思われがちだが、 金馬はワザとやっているのだ。 腕時計を見ながら 「もう一つ二つは大丈夫でしょう。」などということで、話しているバレ噺が リアリティーをもつ。つまり、床屋などで出会ったオヤジ同士がアブラを売り ながら、猥談をしているそんな雰囲気が出るのだ。 時代を的確に読み取って、その中で新しさを創っていった三代目三遊亭金 馬は1964年の明日11月8日、70歳で死んでいる。
by shanshando
| 2006-11-07 15:12
| ■古本屋の掃苔帖
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