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2006年 11月 18日

古本屋の掃苔帖 第三百四十四回 ブルーノ・シュルツ

1998年に新潮社から出されたブルーノ・シュルツ全集が元々
高価であった上、すぐに絶版になったため待望久しかった「ブ
ルーノ・シュルツ全小説」が平凡社ライブラリーから出てちょうど
一年になる。

ブルーノ・シュルツは、1892年現在のウクライナの西端ドロホ
ヴィチに生まれたユダヤ人の画家兼小説家でポーランド語を
使用し国籍を取得していたため、ポーランドの作家に分類される。
1942年、ゲットーでナチスによって銃殺された。
翻訳者工藤幸雄氏の平凡社版の解説によると、2001年ドロホ
ヴィチの彼の旧居の壁に塗られたペンキの下から、彼の壁画が
発見された。鑑定の結果間違いなく本物と認められ、ポーランド
ウクライナ両国で文化財としての保護が決定された直後、椿事
(と言っていいのだろうか?)が起った。
発掘作業中の壁画が何者かに盗まれたのだ。
調査の結果犯人は、なんとイスラエルの国立ホロコースト博物
館「ヤド・ヴァシェム」であることが判明。つまり国家が泥棒をした
のである。
イスラエルは悪びれることもなく、これを公式発表したという。
ナチスのホロコーストによって殺されたシュルツの壁画は、ユダ
ヤ人国家であるイスラエルのものという理屈らしい。

皆さん国家ってなんでしょう?
自分たちの存立を正当化するために役立つ遺産は取り合いをし
てでも手に入れるクセに、自分たちの恥になる負の遺産には目を
そむける。あるいは、無かったことにする。
日本では、教育基本法が強行採決されましたが、愛国心や民族
主義が狂気を孕む可能性を持っていることが忘れられていない
でしょうか?
それとも、日本人だけは大丈夫!なんて思っているのでしょうか?

ブルーノ・シュルツは1942年の明日、11月19日ホロコーストに
より50才の人生を閉じさせられた。

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by shanshando | 2006-11-18 15:26 | ■古本屋の掃苔帖


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