上々堂(shanshando)三鷹

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2006年 12月 01日

古本屋の掃苔帖 第三百五十一回 マルキ・ド・サド

他人の性欲を処理する仕事というのは、マジメに取り組むほど
多大なストレスを伴うものであるらしい。
知り合いの元女王様に聞いた話である。(と言っても王室や皇室
に関係している方ではありませんよ。)

その女王様が全盛を極めていたのは、まさにバブルの真っ最中
世の哀れな奴婢どもが、辱世のドブ浚いに励んでは金を貯め、
浄財として献上するために、連日押すな押すなと女王様に拝謁
にやってくる。
女王様は、そのような下賎の者の都合など知った事ではないから
気が向いた時だけ、ご出勤されて、貢物の高に応じたご褒美を
奴婢どもにお与えになる。それがまぁ、良くって週に3日。
一回出勤すれば、オイルマッサージのスペシャルコースを二連続
で受けて、着るつもりもないブランド物の洋服を店員が土下座する
ほど買い占めて、それでまだ友達2、3人連れて朝まで飲み続け
られるほどは稼いでいた。
そんな無駄遣いしないで、貯金でもしておいて商売でもすればよか
ったじゃん。バブルもはじけ、女王様が一般人に戻られてから知り
合いになった私は、貧乏くさいうえに今更言ったて完全に遅い忠言
をしたものだが、そういうものではないらしい。

女王様としての職業意識を維持するためには、けち臭い生活臭など
漂わせてはお終いだし。第一、奴婢どもが運んでくる札束など、尻
拭き紙程度に思っていなくては、良いお仕事は出来ないのだそうだ。
売れに売れて3年でAVに転職、そこでも持ち前のプロ魂を発揮して
伝説に残る作品を残し、やがて男優の一人と結婚した。
結婚してからも、時々監督、プロデュサーとしてビデオの仕事はした
が、生活費はもっぱらあまり稼ぎのよくない亭主の男優にまかせて、
彼女は主婦に徹しようとしたが、女王様時代の後遺症で浪費癖が
抜けない。冷蔵庫に腐るほどの食材が溢れていても、夕方買い物に
出ると、到底必要と思えないものまで買い込んで、一日必ず五千円
以上遣わないと、生きている感じがしないのだそうだ。

月日が経ち今は5歳の子供のママとなったが、この子を生む時も生
んでからも煙草はやめないし、授乳していた時も片手にはグラスを
持っていた。

事の善悪はこの場合他人がどうこう言うことではない、子供は十分
健康に育っている。一人の優秀な職業人が世の中に必要とされる
仕事を全うし、結果体験が人格を形成した。これは美談である。
是非とも、「美しい国」を提唱されているお方にお聞かせしたい。
そうして考えてもらいたい。多様化した文化の渦のなかで生きる人
間相手に画一的な価値観の押し付け教育が可能かどうか。

1814年の明日12月2日シャトラン精神病院で、マルキ・ド・サドが
死んでいる。
享年74歳

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by shanshando | 2006-12-01 17:42 | ■古本屋の掃苔帖


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