2005年 01月 31日
2005年1月31日(月)晴れ 夕方近く、ナイスミドルに「この間まであったあのエリオットの詩集は?」と尋ねられ、確か、ここに、と棚を見ると無い。 すみません、売れてしまいました。と言うと、「あんな本買う人がいるんですねえ。いや、実は僕が売ったんですが、やっぱり手元に、と思って今日買い戻しに来たんです。いや、あんな専門書買う人がいるんだ。いやはや、仕方ない。」 そうか、買い戻し、という事もあるわけですねえ。 一年半やって来てこんなことは初めてでした。 ところがまた、遅い時間に買い戻しのお客さんがあり、続くときは続くものだと。 この方の場合はちゃんと本が残っていましたので、再び持ち主の元へ。 この男性、年のころは60歳代後半、昔、日活で映画の仕事をしていたとか。この方が、『鎌倉文庫』の雑誌『人間』の創刊号を手にして「今、こういう雑誌はもう、作れないんじゃないかなあ。」と。 そうですね。そういう志高い、希望溢れる雑誌というのは、今の時代には生まれないかもしれないですね。と答える。 鎌倉文庫については、自身そんなに詳しいわけではないけれど、いくつかの文章で読んで、その度に、眩しいような、羨ましいような、気持ちになる。できれば一緒の時代に存在してみたかった、と。 時代と真っ向から向かい合って生きていった作家たち。 古本屋にならなけりゃ『人間』の創刊号を手にすることもなかったろう。 古本屋になってよかった。
by shanshando
| 2005-01-31 23:35
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