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上々堂(shanshando)三鷹

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2007年 04月 20日

アジト

目が醒めて天気がいいと、日常になんら脈絡をもたない言葉が
頭にポンッと浮かぶことがある。
今朝は何故か「アジト」
アジト アジト あじと 鯵戸 味と 唖字堵 あっ!ジト。なんちゃって

アジトなどといえるような場所に足を踏み入れた経験はないけれど、
何故か「アジト」という言葉は懐かしい。
かび臭い地下室、薄暗い裸電球の下でガリ版を刷る髪の長い女と
髯だらけの男、缶ピースの缶に溢れる吸殻。
時代は60年代の東京か大戦下のパリ………大戦下のパリに缶ピー
はないか…。

何度も書いたように私は不動産屋が嫌いなのだけど、それは今実在
する多くの不動産屋たちが嫌いということで、不動産を人に仲介する
という業態そのものが嫌いなわけではない。
イヤむしろ実在する彼等の想像力に欠ける仕事ぶりを見ていると、私
ならもっと面白い不動産屋を展開するのに…と思っているのだ。
例えばアジト専門の不動産屋なんてどうだろう。
思想信条は一切問わない。とにかく世間から隠れて棲む、または集う
人専門の不動産屋。

つげ義春の作品に奥さんに内緒で元女郎屋のアパートを借りる話が
あるが、あれも立派にアジトと謂えるだろう。家族だって対象化しちゃ
えば世間に違いないし、隠れ篭っているところに踏み込まれるスリルは
場合によっては官憲以上かもしれない。

物件選びの基準は店舗探しの逆を思えばいいだろう。
「駅前路面角地!人通り多し!」は店舗なら絶好の場所ということに
なるが、アジトとしては最低の条件である。
単に目立たなければいいのであれば、富士山の樹海の中にでもあれば
いいんじゃないかというと、それでは只の世捨て人というか隠棲であって、
アジトというのはもっと世の中との積極的な関わりの中でときめいている
ものでなければならない。
あえて言えば前の例の「駅前」と「人通り多し」はアジト的にも合格だろう。
駅前の雑踏で注意して見なければ見過ごしそうな小さな扉、毎日そこを
通っている人も気づいていないようなビルとビルの間にある木戸、それを
開けると何時から放置されているのか判らないようなゴミの山、くもの巣。
万一そこを覗いた人がいても、「ここは使われてない倉庫かなんかだ。」
と思って去っていく。そんな場所の奥にアジトはある。

最近「隠れ家風」なんとかというのが流行っているらしく、今朝も新宿で
見かけたが、靖国通りに面していて思いっきりでっかい看板掲げてなにが
「隠れ家風」なのだろう?イヤ待て、あれは新手の隠れ方なのかもしれない。
あそこまで堂々と「隠れ家…」と名乗られたらかえって誰かが隠れていると
は思えない。……そうかなるほど。

アジトという言葉はソビエト時代のロシア語で扇動司令部という意味らしい。
扇動というのはやはり非合法であろうから、それを扱う不動産屋も当然非
合法。ということはつまり宅建の免許などは必要ない。というか東京都認定
業者が仲介するアジトなんて、病院の手術台の上で刺身の女体盛りを造
って食べるようなもので危なくってしょうがない。
つまり私はその気になれば、これからシコシコ資格試験の勉強をしたりし
なくてもアジト専門不動産屋を開けるわけだ。
善は(?)急げ、すぐにも物件探しだ!おっとその前に中華街にチャイナ服
を買いに行かなくっちゃ!アジト専門不動産屋のユニフォームはチャイナ
服に弁髪!これはお約束です。

by shanshando | 2007-04-20 14:52 | ■原チャリ仕入れ旅■


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