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上々堂(shanshando)三鷹

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2007年 05月 25日

耳鳴りの町

眼が醒めると耳鳴りがした。
気圧が低いといつもこうだ。
耳の後ろの骨と頬骨が音叉のように響きあって、聴力が半減する。
いつも決まって右側なのは頭蓋骨の形状のせいだろう。
試しに目玉をグリグリ回してみる。眼球が圧迫されていないか不安
になるのだ。グリグリグリグリ、よし大丈夫!
起き上がって、隣の部屋に行き、窓を開けて体操を始めた時、ちょうど
雨が降り始めた。音は聞こえないがさわさわと細い優しい雨だ。
窓から50メートルほど向こうにあるケヤキの大木を観ながらスクワット
800回、てっぺんの枝が風に吹かれて揺れているのが、耳鳴りとシン
クロする。

体操を終えて階下に降り、造り置きを冷凍してある焼きおにぎりを解凍
して食べる。咀嚼のたびに顎間接で弓を弾くような音。
食べ終えて、コップ一杯水を飲み。合羽を着込む。今朝は本宿に買取
なのだ。時間はまだ早いが、この状態で合羽を着込むと耳の中は合羽
が雨粒を弾く音で一杯になって結構危険だから、用心のため早めに出
発するのだ。

雨に顔を打たせながらバイクを発進する。雨粒が細かいから左程不快
ではない。
駅前の出勤ラッシュの群れが、水族館の魚のように無音で行き過ぎる。
庚申通りを右折して、突き当たりを左折したところで女子大に向かう群れ
に行き逢う。何故か全員黒縁メガネでうつむいている。数珠繋がりで歩い
てくるので、やり過ごすため停車していたら、通りすぎる刹那に皆チラリと
こちらを見る。ちょっと怖い。
やり過ごして道路を渡り、中央線の高架方面に行くと左手に交番。
何故だかオマワリがびしょ濡れで立っていて、怪訝な顔でこちらを見る。
その角を右折すると鉄塔武蔵野線が見えてきて、その電線の真下にある
のが今朝伺うお家。
50代とおぼしきご主人がどうぞ上がって下さいと言ってくださるが、合羽
を脱ぐのが面倒なので、玄関先で拝見。雑誌の山は概ね古くてシミだら
けの月刊太陽で駄目。一冊混じってた洋雑誌の表紙が鮫の写真で、ちょ
っと気になったが、商売にはなりそうもないので、丁重にお断りして外へ出
た時、電線から垂れたしずくが頬にあたって、それがまた耳の後ろに響く。
すぐにバイクを発進させるが、急に不安な気持ちになり、交番の前で立ち
停まり、目玉をグリグリグリグリ、あいかわらずびしょ濡れのオマワリが不
思議そうにこっちを観ていた。

by shanshando | 2007-05-25 13:40 | ■原チャリ仕入れ旅■


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