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上々堂(shanshando)三鷹

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2007年 07月 21日

コンビニ

「いざとなったら、コンビニで働いてでも金は作る。」とか、「毎日懸命に
仕事してもこれっぽっち、これじゃコンビニで働いてたほうがマシだよ」
などと、まったく失礼な話だと思うが、残念ながらコンビニ従業員という
のは、あまり良いイメージで語られることが少ないようだ。
マニュアル通りに毎日決まった仕事をしていればいいのだから、頭も
体力もいらない。大資本に尽す使い捨て労働力というイメージがあって、
そんなことをいわれるのだろうけれど、ちゃんと観察していれば同じよう
でいながら個々の人によって随分能力差があるのがわかる。
商品や店舗デザインなどの外見が同じだけに、むしろ中にいる人間の
個性の差が目立つといったほうがいいかもしれない。

興居島屋を始めた当時近所にあったコンビニには、完璧なアニメ声の
可愛いアルバイトさんが居て、買い物に行くたびにその声を聞くのを
楽しみにしていた。個性的な高声は人によって好みが様々だとは思うが、
私はいつも一生懸命な彼女の接客に悪意を持つ人は少ないだろうと思
っていたが、世の中いろんな人間がいるもので、その甲高い声を聞くと
頭が痛くなるから辞めろなどという意地悪なクレームをつける客がいて、
まさかそんなことで店側が彼女のクビを切ったとは思えないが、やがて
居なくなってしまった。

やはり西荻の別のコンビニでは、その建物のオーナーでもあるお婆さん
が昼間は店番をしていて、知り合いの客が買い物に来ると長々話し込む。
レジ前に精算待ちの列が出来ても知らん顔で喋っているので業を煮やし
た客が苦情を言うと「最近の若い人間は口の聞き方を知らない」と怒り出
す始末で、さすがに此処はすぐに閉店をした。

これはコンビニとは言えないかも知れないが、私が若い頃にアルバイトを
した店で、都内の盛り場に当時4、5軒の支店を持っていた店は従業員割
引の基準が無茶苦茶曖昧で、私など深夜の仕事上がりにそこで買い物を
すると、なんでも半値を遥かに下回る金額で買えたので、非常に重宝した
が、なんであんなことで営業しつづけられるのか今でも不思議だ。ここは
まだ健在である。

登戸に住んでいた頃、近所に道路を挟んで建っている二軒のコンビニがあ
って、片やは酒類も取り扱っているのに片やは取り扱っていない。それぞれ
に別の大手コンビニチェーンに属しているのだが、やはり酒類を扱える扱え
ないの差は大きいらしく、やがて扱ってないほうの○ァミリーマートは閉店す
ることになった。私の家からは○ブン○○ブンのほうが近かったのだが、私
には判官びいきの癖があって閉店を知ってからは毎日道路を渡って○ァミリ
ーマートに通った。

閉店が決まるとその店ではアルバイトさんやパートさんを解雇したらしく、夜
の営業はなしで昼間のみ棚の閑散とした店を開けるようになった。店番はオ
ーナーとおぼしき40代の男性が一人でやっていたが、想像するに彼は会社
勤めの早期退職金でそこの不動産を借り、○ミリーマートチェーンと契約をし
ていたのだが、経営不振で本社から見放されたのだ。
閉店日までの縮小営業の期間、彼は最初のうちは多少応対が乱暴になる程
度だったが、日を追うに連れ荒れてきて、そのうち昼間からレジでポケットウィ
スキーを飲むようになってきた。顔は一面無精ひげで髪はバサバサ。昼間飲
むくらいだから夜は当然のように飲んでいたのだろう。傍によると饐えたような
匂いがした。

それでも一見律儀にチェーン店の制服を着ていたのは自分をここまで追い込
んだ本社チェーンのイメージをちょっとでも落としてやれという意地だったと思う。
彼には憎いのは商売上で自分を打ち負かした向かいの○ブン○○ブンよりも、
形勢不利と見るやあっさり自分を見捨てた○ァミリーマートだったに違いない。
それでもさすがに意地があるのか昼間から飲む酒を向かいの店で買うことだけ
は初めはしなかったようだ、早朝大分離れた駅前の酒屋で酒の纏め買いをする
彼の姿を何度か見た。店の商品にはないはずの酒の空き瓶が店の其処此処に
散乱するようになったのは3日めくらいだっただろうか、恐らくその頃から彼は連
続飲酒に陥っていったのだ。閉店間際の頃には店を開けたままで向かいの店に
酒を買うため横断歩道をフラフラと渡る彼の姿が見られるようになり、予告された
閉店日を未だ1,2日残して店は閉じられてしまった。

by shanshando | 2007-07-21 14:18 | ■原チャリ仕入れ旅■


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