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上々堂(shanshando)三鷹

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2007年 08月 16日

麦藁帽子は冬買え

↑というのは相場をやる人のための格言です。
夏に値上がりする事を見越して、需要の少ない冬に安く買いなさい。
ということらしいですが、これは古本の世界にはあまりあわないようです。

古本の世界にも、ものによっては相場が激しく変動する事があります。
すごく判りやすい例をいいますと、一時雑誌連載で人気が出た漫画が、
段々下火になって、市場などでももう安くしか取り引きされない。
人によっては場所取りだからと在庫を捨ててしまったりする。捨てないま
でも、大体均一扱い。ところが、ここに独自のアンテナを持っている業者が
居まして、来年この漫画がテレビアニメになる。しかも制作スタッフは一流
だから確実にまたブームが再来する!という情報をつかむ。
こうなると、この業者は近辺の同業を回って、均一台からその漫画の状態の
良い物を買い集めたり、場合によっては捨てようしているのを貰って来たり
します。それも今度アニメになるということは伏せて、
「いや、お客さんに頼まれちゃってね。」かなんか適当に言っといて、その実
その業者の倉庫にはその漫画の全巻揃いがもう何十セットも積み上げられ
ます。まあ大抵途中からは他の業者も気付きますから、そうは稼げないで
しょうが、例えばそういう風に相場を追うということは実際ありえます。
しかし、それはもう本当に限られた例で、大体の商品は相場があっても、十年
とか二十年とかいうスパンで若干評価が変わるという程度で、とても相場狙い
で一儲けなんてありえません。

しかし、ては古本の相場というのはいつでも安定しているかと言うとそうでは、
ありません。ネガティブな相場というのはあるのです。
つまり早い話が、今年の夏。七月の雨続きが終わったら今度は、猛暑続き。
もう売上はボロボロ。致し方なく市場で稼ごうと、在庫の中から不要のものを
市場に持っていって、まぁ少なくともこれぐらいには落札されるだろうと期待して
いると、店の売上が悪いのは何処も同じというわけで、もう殆どが安く買いたた
かれる。どうかするとお客様から買ったより安くしか落ちなかったり、
こんなんじゃ、店で安売りしてお客様に喜んで貰った方がいい。ということになり
かねませんが、これをみんながあまり無制限にやってしまうとデフレスパイラル
をおこして、古本屋という業態自体が成り立たなくなる。市場というのはそういう
ことを防止する役目を果たしているわけですが、正直今年の夏はもう大変です。

興居島屋も上々堂もおかげさまで、買い入れは例年より多いくらいで、しかも上質
のものが入って来ている。どんなに売れ行きが悪い時でもお客様からは安く買え
ませんから、とにかく頑張ってどんどん買ってますが、現在大体買い10に対して、
売りが3くらい。どんどん溜まっていく一方です。
どんなに良い本でもそれ自体を食べるわけにはいきませんから、古本屋は自分の
身を削って、買い入れをします。
もうダイエットもエクササイズも必要ありません。毎日朝から、出張買取りに出掛け
て汗みずくになりながら、買取りをして、店に運んでもう収容能力を越えている処
に無理矢理ねじ込みます。
本当は店の通路に横積みはしたくないのですが、今は仕方ありません。積んであ
るのは殆ど当店には向かない物なのですが、下手に市場に持っていくとわざわざ赤
字を作りにいくようなものです。
知り合いの切手業者に聞くと、もう今は客からの買い入れは中止していると言います。
しかし地域に根ざした古本屋はそうは行きません。お客様が売っていただけるとなれ
ば、(要らない物は別ですが)自分が食べなくても買わなければいけません。
何時かまた気候が良くなり、お客様が戻って来るまで、体力とお金の限り買って買っ
て買いまくります。

でも、もしかして来年から毎年こんな夏が続くのでしょうか?
地球温暖化を考えると、今でも最低限にしている冷房も止めた方が良いのかもしれ
ません。でもそうしたら益々客足は途絶えるでしょう。
うーんどしたらエエねん?

by shanshando | 2007-08-16 14:22 | ■原チャリ仕入れ旅■


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