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上々堂(shanshando)三鷹

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2007年 09月 02日

世代

今朝は私より少し先輩になる女性美術家のお宅に伺った。
勿論女性のお客様にいきなり年齢を尋ねたわけではない。
売っていただいた本でおおよその年齢が類推できるのだ。
特に、私より少し先輩、つまり1960年代後半から70年代
に青春を送られた方の本は一目でわかる。
その時代はビジュアル系…などと今では言っている、つまり
グラフィックデザインの良い仕事が装丁や挿絵に施された
本が沢山出た時代である。
やはり、文字よりもダイレクトに人々の気分に訴えかけるグ
ラフィックは、それだけ世相を反映しやすいのだろう。
ページを繰っていると、本当は当時は子供過ぎた筈の私の
脳裏にも時代の気分が蘇る。

ちょうど興居島屋の新装開店に新しい本が欲しかったところ
なので、渡りに船である。
引越作業で疲れ果てて、ともすると投げやりになりがちなお
客様を励まして(邪魔臭いから捨てようと思われていたらしい)、
たしかに若干状態は草臥れてきている一山を選り分け買わせ
ていただいた。

本当は、昨日も書いたように改装中の在庫整理に難儀している
時に新しい在庫などとんでもないのだが、やはり良い本を買い
控えるわけにはいかない。数十年の埃にまみれた本は時代の
情念が染込んでいるのか、実際以上に重く感じられる。
新古本なら同じ量の査定に10分もかからない私が、今日は
たっぷり2時間かかってしまった。時間にして12倍。しかし疲労感
は更にその倍くらい。つまり24倍。では儲けも24倍かというとそうは
いかない。せいぜい新古本の1,5倍というところか。それだけだと、
あまり合う商売じゃないということになるが、扱ってる喜びは50倍
くらいあるから、まあ結局私もこの商売嫌いでもないのだなぁ。

上々堂の開店時間に間に合うか横目で気にしながら、しかしゆったり
したペースでそれらの本達が生まれた時代の話などしながら、
査定をすませ。ジャイロに積み込んで興居島屋にピストン輸送。
整理の方針を相棒に指示して、上々堂にはなんとか30分遅れで
入る事が出来た。

by shanshando | 2007-09-02 13:44 | ■原チャリ仕入れ旅■


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