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上々堂(shanshando)三鷹

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2007年 10月 28日

鎌倉

5時過ぎに西荻を出て、江の電長谷駅に降り立ったのは6時40分。
まだそんなに遅い時間でもないのに、台風のせいか駅の周辺はひっそりして
人影もまばらだった。
その時間になると、もう雨の量は左程でもなかったけど、なにしろ横殴りに
降って来るので傘もまともにさせない。駅前で確認した周辺地図はネットで
見たアクセスマップとランドマークの配置が違うような気がする。心もとない
ままに歩き出すと駅から離れるにつれて、益々人影や店も少なくなり、不安な
気分が前夜に読んだ ささめやゆき画の「ガドルフの百合」と重なる。

訪ねる先の「一花屋」は街道から二度ばかり入り込んだ路地にひっそりとあった。
雨の闇夜の底で全身を湿らせた旅人は(私のことね)玄関番のたぬきに一礼した
後で、かすかにザワメキが漏れ聴こえる戸の前に立った。
扉は和風の硝子格子、外と打って変わって中は明るそうだ。そろそろと開くと
色とりどりの靴が脱ぎ散らかされた玄関の正面にはこれも色とりどりの手拭いが
飾られ(手拭いカフェでもあるのです)、その向こうではたぬきの宴会ならぬ、
昼間から行われている旅人サロンと称する集まりが、時間延長で続いている
ようだった。

私は濡れたコートを脱ぎ、式台に腰かけるとかねて準備のタオルで身体を拭き、
濡れた靴下を乾いたものと取り替えて、そのまま奥のイベントが終了するのを待
った。
よく見ると玄関の脇にある靴箱の上には、ささめやさんの「鎌倉えはがき」が並べ
られていて、手に取って一つ一つ眺めると飽きがこない。
ここの女将 せのうふえりこさんは ささめやさんの娘さんなのだ。
ふえりこさんというのは不思議な名前だけど、せのうさんというのは多分結婚後の
姓で元々は ささめやふえりこさんだったのだろう。やっぱり。
本当はなにか漢字があてはめられるのかもしれないが、ひらかなばかりで書くと
どちらの場合もどこまでが姓でどこまでが名前なのか迷う。
もしかしたら 旧かな使いみたいに、せのふ えりこさんの入力間違いか?とか、
 ささめやふ(ささめよう)えりこさんか?と考えてしまうけれど、
(ささめやふ)で(ささめよう)はチト無理があるか。

なんだかつまらない連想をしているうちに、奥のイベントは終了し、いよいよ
barタイム。
昔のデパートの食堂みたいに前金チケット制で昨日は全メニューが500円均一。
満月になぞらえた創作料理が幾種類かあり、これは実は11月から上々堂に来てく
れる堀内みすみさんが作っている。私は「満月プレート」と「満月の薫製」それから
竹皮に包まれたおむすびを食べ、ビールと焼酎。
雨に濡れて冷え気味だった身体がホッとした。
ふえりこさんにご挨拶して、帰ろうとすると厨房からわざわざ堀内さんも出てきてく
れて、鎌倉えはがき4セットをお土産がわりに購入し、少し降りが弱くなった街路
へ、帰路はお月さまを沢山食べたせいか、酩酊のせいか、宮沢賢治ではなく、
稲垣足穂気分でありました。

by shanshando | 2007-10-28 14:16 | ■原チャリ仕入れ旅■


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