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上々堂(shanshando)三鷹

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2007年 10月 30日

鍋物の風景

尾羽打ち枯らして、屋財家財あらかた失ったとして、何かひとつ手元に
残すことが許されるとしたら、土鍋を残したい。
これひとつあれば、飯が炊けるし、菜の物の煮炊きも出来る。炒め物は
難しかろうが、煎り物なら出来そうだし、まあ気長にやれば茶も飲めるか
もしれない。酒の燗は出来るし、サラダボールの代わりにもなる。
いや、いざそんなことがあれば多分他のものを択ぶのだろうけれど、深夜
に帰宅して台所で土鍋を前にしていると、ついそんな妄想が沸く。

いよいよ鍋の季節になった……と書くと後に書くことと食い違うので、正確
に書くと、世間では鍋の季節になった。
誠にもって鍋料理というのは有り難いもので、湯気に顔をさらして具をつつ
いていると、自然頬が緩み幸せな気分になってくる。大麻というのはおそらく
こんな感じなのでしょうね。……やったことないけど。

食事をするということは、つきつめて言えば熱を摂取するということだという
けれど、私など男のくせに冷え性だから常に熱を欲している。
夏でも余程の炎暑でなければ熱燗を飲むし、温かい蕎麦を好む。寿司や刺
身なども嫌いではないが、それだけ食って食事を終えるとなんだか悲しい気
持ちになる。やはり最後に熱い吸い物があって漸く酒が納まるべきところに、
納まった気がするのだ。

鍋料理に関しては、色々五月蝿いことをいう人もいるから、出来れば一人乃
至は二三人で食べたい。10人も集まって食うと趣味がごっちゃになって何を
食べているのか判らないことになりかねない。
ただし芋煮のように野外でやる場合は大勢がいい。大勢でデッカイ鍋をグツ
グツやるのに小理屈を言う人もいないだろうから、これは様々ある鍋の楽しみ
の中でも王道と言えるかもしれない。

まあ好みも様々だろうけれど。私が一番好きなのは夏の暑い日の夕方に田舎
の縁先で行水をしたあとに、パンツ一丁で食べる鳥の水炊き。だらだら流れる
汗を流れるがままに流しながら食べ最後にもう一度行水をして、そのまま蚊帳
にもぐりこんで寝る。これはもう最高ですよ!……って、やってみたいなぁ、そ
んなこと。それにはまず縁側のある家を買わなきゃ。

by shanshando | 2007-10-30 13:55 | ■原チャリ仕入れ旅■


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