上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 11月 30日

古本屋の掃苔帖 第百十七回 滝沢馬琴

滝沢馬琴が「南総里見八犬伝」の執筆をはじめたのは
文化11年(1814年)47歳の時である。
それからまさに28年の歳月をついやして、この180回
98巻106冊にわたる長編ドラマを書き上げた。
物語の後半には盲しいて、自分で書く事がならず息子の
嫁 路女に文字を教えながら代筆させ書き上げたという。
彼をして、そうさせたのは恐らく、職人的な律儀さであ
って、いわゆる芸術的野心などではなかっただろう。
40を過ぎて馬琴は若い頃の放蕩が嘘だったように、真面
目な職業作家になり、締め切りなども律儀に守ったという。

のちに坪内逍遥はこの「八犬伝」を勧善懲悪小説の象徴の
ように批判するが、それはなんだか牛丼の吉野家に入って
「店主を呼べっ!」と叫んでいる海原雄山みたいで間抜け
だ。北斎に芸術家という意識が無かったように、馬琴だって
自分の仕事が文学であるなんて思ってもいなかっただろう。

滝沢馬琴は嘉永元年11月6日午前4時ごろ亡くなった。
つまり新暦になおすと1848年の明日12月1日である。
享年81歳。
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by shanshando | 2005-11-30 21:17 | ■古本屋の掃苔帖
2005年 11月 29日

古本屋の掃苔帖 第百十六回 横井英樹

「最近の若者は金さえあれば何をやってもいいと
思っている」とは、ホリエモン事件における。元首相
森喜朗先生のご発言で、それもすべて戦後の教育
が悪いせいらしいが、戦前の教育ならそういう人間
は出てこないというのは無理がありすぎます。
先生にとっては、大学の先輩でもあり、自民党代議士
としても先輩にあたられる堤康二郎氏をお忘れらしい。
堤のえげつなさに比べれば、ホリエモンなんて可愛い
もんでしょうに。
いまさら、森氏が何を言っても誰もまともに受けやしま
いが、ああ云うものを安くない歳費で飼ってるかと思う
と税金なんぞ払う気なくなりますね。

さて、昭和財界悪党列伝のなかで平成のホリエモンと
相似しているのが、ホテルニュージャパン火災で業務
上過失致死に問われた横井英樹氏。
彼がはじめて世間の耳目をあつめるのが「白木屋乗っ
取り事件」。
日本橋の老舗デパート白木屋を乗っ取るべく、全発行
株式の半数まで買い進んだ時、白木屋がわの必死の
防戦に会い資金がつきた彼は、東急グループの総帥
五島啓太に泣きつき、結局所有していた株を五島に買
ってもらいます。
いわゆる「ホワイトナイト」の役を果たしたこの五島啓太
こそ、「ピストル堤」といわれた堤康二郎のライバル「強盗
啓太」といわれる男であり。つまり、小魚が大魚に呑み込
まれたというお話ですね。

ホリエモン氏は結局あの騒動で儲けたらしいが、横井氏
の場合赤字だったらしい。それでも懲りないところが、この
男の面白さで、その後も帝国ホテルの株を買い占めたり、
問題のニュージャパンを手に入れたり、話題になった「EM
PIRE」という本によると、エンパイア・ステート・ビルディング
も所有していたらしい。
しかし、結局それらもすべて間抜けな顛末で手放しており、
ニュージャパンにいたっては、間抜けと笑ってもいられない
仕儀となった。

一流財界人をめざして、必死でもがいた彼の山師的人生
も1998年11月30日、80歳で閉じることになりますが、
未払いの税金がなんと国税220億円 地方税110億円と
いわれ、史上最大のとり漏らしといわれています。

田園調布にあった豪邸は更地に戻された後、美白の女王
鈴木その子さんに買われましたが、鈴木氏の死後建築計画
はストップしたままだとか。
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by shanshando | 2005-11-29 17:38 | ■古本屋の掃苔帖
2005年 11月 27日

昨夜はどうも

昨夜は加藤千晶さんが帰ったあと、入れ違いに
私が戻って、そして暫くするとハルミン女史達が
やってきた。
達というのは、お友達が数人ということで、皆さん
文鳥舎で行われた落語の会に来たのだ。
柳家喜多八さんの会。

柳家喜多八師匠は柳家小さん治師匠のお弟子で、テ
イストとしては一番師匠に近いものを持っているよ
うに思う。文鳥舎さんは大ファンだとか。
文鳥舎さん、いつもお会いすると中々運営が大変だ
とおっしゃるが、よくあれだけのペースで質の良い
イベントを打たれるものだと関心する。
頑張って下さい。
そして、みなさん文鳥舎さんのイベント情報をこまめ
にチェックいたしましょう。

さてネット販売はこちらから。

そして今日の
「掃苔帖」『上海帰りのリル』を歌った
あの歌手です。
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by shanshando | 2005-11-27 16:20
2005年 11月 27日

古本屋の掃苔帖 第百十五回 津村謙

昭和9年に公開された「フットライト・パレード」という
映画はジェイムス・ギャグニーが主演し、その中で歌われた
曲が「上海リル」である。私などの世代には吉田日出子が
「上海バンスキング」というお芝居で歌っていたのが懐かしい
が、元々日本でこれを歌ったのは歌川幸子という歌手で、その
翌年にはディック・ミネも歌っている。
そして、この曲の続編という事で戦後日本で作られたのが、
今日の主人公 津村謙の歌った「上海帰りのリル」である。
こういう事は著作権上認められることなのかどうかよく知らな
いが、とにかくこの「上海帰りのリル」は大ヒットした。
〈リール、リールどこにいるのかリール 誰かリールを知らないか〉
という箇所の高音がセクシーで「ヴィロードの歌声」などと言われた。

津村謙は大正12年12月12日という、なんだ軍事教練のかけ声の
ような日に生まれていて、そのせいでもあるまいが、昭和18年に
デヴューしたがじきに召集され、戦後古賀政男の弟子として再出発
している。
そして始めて得たヒット曲が映画「愛染かつら」の主題曲、この時
芸名を津村謙にした。映画の主人公 津村浩三とそれを演じた上原謙
をくっつけたのだ。
美声のうえ容姿にも恵まれていて、「上海帰り…」のあともヒットを
かさねたが、 昭和36年11月28日早朝、杉並区神明の自宅ガレージ
で排気ガスによる一酸化中毒のため絶命しているのを発見された。
飲酒の形跡はなく、また遺書などもなかったようだから自殺ではなさ
そうだが、変死といってよいだろう。わずか37歳であった。
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by shanshando | 2005-11-27 13:55 | ■古本屋の掃苔帖
2005年 11月 26日

加藤千晶さん!

「いいひと」なんていう言葉は、心ある人には
侮蔑の言葉にもなりかねないので注意せねばな
らないが、加藤千晶さんは「いいひと」である。
大概の場合、人がその言葉を使う時には「自分
にとって都合のいい人」という意味を含んでい
るものだが、加藤さんは私にとって「都合の
悪い人」である。というわけではなく。都合は
どっちでも良くって、「感じの良い人」なのだ。

まだ一回しか会っていない。
今日、二回目会う予定だったが掛け違った。
別に不都合はない。預かっていたCD「おせっかい
カレンダー」の精算に来られたのだ。
これは、前にも紹介したので、詳しくはリンクを
はるので彼女のサイトで見ていただきたいが、すごく
素敵なCDだということだけ強調しておきます。彼女
の「感じ良さ」が充溢しています。
一回興居島屋でお会いして、上々堂に来てくれた時は
いつも掛け違うので、きっとたぶんもう一生会う事は
ないかもしれないけれど、私は彼女のファンであります。
今日でとりあえず、預かったCDは売り切れ状態になりま
したが、近日中に再入荷出来ると思います。上々堂では
折々にかけているので、是非聞いて気に入ったら再入荷
分を予約してください。
加藤千晶食堂はこちらから

さて、ネット販売に新入荷が続々!近日アップするぶんには
数冊の絵本と供に「長新太怪人通信」などがあります。

そして、1895年の明日11月27日、小デュマ デユマ・フィス
が亡くなっています。
。「古本屋の掃苔帖」はこちらから
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by shanshando | 2005-11-26 22:44
2005年 11月 26日

古本屋の掃苔帖 第百十四回 デュマ・フィス

まさに歩く男根のような血脈に生まれついている。
祖父のトマ・アレクサンドルは、フランス貴族が
黒人奴隷に生ませた子どもで、並外れた戦闘能力
をかわれ、ナポレオン騎下で将軍にまで上り詰め
「黒い悪魔」とか「殺戮の天使」と恐れられた猛将。
父は、「三銃士」や「モンテ・クリスト伯」で知ら
れた文豪デュマ・ペール(大デュマ)だが、この親
父がまた日本人の我々が抱く文学者のイメージからは
思いっきり離れた男で、その蕩児ぶり冒険家ぶり、野
性味はまさに「黒い悪魔」の息子の名に恥じない。

しかし、このトマの父のフランス貴族から数えると
三代に渡った暴虐の血も神によって清められる時が
来たと見えて、名作「椿姫」の作者デュマ・フィスは
その先祖たちにも似ない敬虔なモラリストであったよ
うだ。
モラリストであることは確実に世間的な評判を保つた
めには寄与するが、表現者としてはあまり役に立つこ
とが少ないようだ。
事実、数々の名作が今も多くの読者をひきつけている
暴虐ものの父大デュマにくらべて、彼の本業と言うべ
き戯曲の数々は歴史のなかに忘れ去られて、ようやく
この小説「椿姫」だけが読まれているに過ぎない。
父大デュマも「息子が書くものはお説教が多すぎる」
といっている。

「椿姫」が古本屋として興味深いのは、その物語の発
端において一冊の本が登場する事だ。
死んだ娼婦の遺品を競売にかけるシーンで競売人は叫ぶ
「書物一冊。製本とびっきり上等。天金。標題は『マノ
ン・レスコー』扉に何か書き入れがあります。十フラン」
何だか、五反田の古書会館で行われている。「振り市」を
思い出すが、面白いのは競売人が製本を問題にしている処。

古来ヨーロッパでは、書物を流通させるのに重量がかさむ
表紙をつけずに配送し、購入した人は自家で、あるいは職
人に依頼して独自の製本装幀を行った。いわゆるルリユール
である。つまり同じ「マノン・レスコー」でも製本、装幀
には良し悪しがあり、良い物は美術品並みの扱いをうけるわ
けだ。
物語のなかで主人公が思わずこれを高値で落札するのは別の
思惑からなのだが。

数年前、ポンヌフ橋の近くであったと記憶しているが、覗いた
自家製本本専門の古書店は冒し難い威厳につつまれていて、
閉店時間が近かったせいもあって入ることを遠慮してしまった
が、ウィンドウ越しに見た書架だけでも、眼福であった。
今一度、今度は正規の客としてあの店を訪れたいものである。
高いんだろうなー。

アレクサンドル・デュマ・フィス、小デュマは1895年の明日、
11月27日パリ郊外のマルリ・ロワで71年の生涯を閉じている。
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by shanshando | 2005-11-26 22:03 | ■古本屋の掃苔帖
2005年 11月 25日

古本屋の掃苔帖 第百十三回 スウェン・ヘディン 

1890年代から五度に亘って中央アジアを探検し
「さまよえる湖」ロプ・ノールや古都楼蘭 トランス
ヒマラヤなどを発見した、地理学者スウェン・ヘディン
は、1935年帰国の途路立ち寄ったドイツでヒットラー
の歓迎を受けた。
ヒットラーは地政学上の関心からハートランドに興味
があったのだ。
ハートランドといっても、西荻窪のブックカフェではない。
ユーラシア大陸の中央から北部、北極海から中央アジア
にいたる地域をさす。
イギリスの地政学者ハルフォード・マッキンダーが提唱
したハートランド理論によると、海運を軍事、商業に利用
する臨海国(シーパワー)の掣肘を受けずに、埋蔵される
豊富な資源を活用できるこの地域を制するものは、世界
島すなわちユーラシア大陸を制し、ひいては世界を制す
る覇者となるといわれている。
古来さまざまな内陸勢力(ランドパワー)がここを制覇しよ
うとしては最終的に敗れている。モンゴル帝国しかり、
ナポレオンしかり、そしてヒットラーもしかりというわけだ。
ドイツと同盟関係にあった日本の大陸侵攻策にも当然、この
地の制覇が野望としてあったことは想像するに難くない、
事実、ヘディンは日本軍部とも関係があったようで、明石
元二郎と一緒に写った写真などが残されている。
ヘディンは純粋に自分の研究の理解者としてヒットラーや
その側近たちと付き合っていたわけだが、結果的にそれは
ナチスのプロパガンダに利用される事となり、第二次大戦後
ヘディンはそのことで批判に晒され、考古学界からは彼の
業績は黙殺された。
1952年11月26日ストックホルムで死亡する。
享年87歳
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by shanshando | 2005-11-25 18:57 | ■古本屋の掃苔帖
2005年 11月 24日

古本屋の掃苔帖 第百十二回 三島由紀夫と森田必勝

切腹ちゅうのんは、どうも痛いもんらしいでんな。
乃木さん、乃木希典はんなんかは203高地を見ても
わかる通り、あんまり物を考えてからやる習慣がな
かったちゅうか、考える頭がなかったせいで、考え無しに、
いきおいで単独で切ってしもうたもんやさかい。
もうエラい苦しみ様、
その為に「ひょっとしたらこれ他殺ちゃうか」ちゅうて
おお騒ぎになったという。
まぁ最後まで人迷惑なおっさんですが、

さすがに三島はんは、そこまで鈍臭うありまへんから
ちゃんと、介錯人として森田必勝(まさかつ)君、当時
25歳を連れて行ってはった。
「ワシ、さきに死むさかい。マサちゃんも後でおいでや」
と言わはったかどうかは知りまへんけど、とにかく
介錯の後、森田も自決という段取りを決めてはったんです
けど、いざとなったらこれが巧い事いけへんねん。
三島はんが、予定外にのけぞったりしはったせいもあって、
二太刀あびせて刀曲げてしもた。アララ。

しゃーないのんで、腕に憶えのある古賀浩靖君が「ほな
ワシやるわ」といううんで、三太刀めで綺麗に落とさは
った。つづいて、森田くんがお腹をちょっと切って(三
島はんは深く切ったから腸が飛び出すほどやったらしい
けど、そのためにもがいて介錯がしにくかったから、自
分の時は迷惑かけんようにわざと浅手にしたんでしょう
な)これも古賀くんが介錯してあげました。古賀くんご
苦労さん。
切腹の介錯っていうのんはやっぱり自殺幇助ということ
になるのんでしょうかな?それとも殺人?
とにかくこの古賀浩靖さん、その後服役しはったあと、
「家の光」の谷口さんのお嬢さんと結婚しはって、今で
は荒地浩靖という名前で宗教活動をおやりやそうです。

はい、という訳で明日11月25日は35年前に三島由紀夫が
「楯の会」のメンバーと市ヶ谷の自衛隊の総監室を占拠
して、さんざん野次られたりした末に自決した日です。
関西弁で書いたのは、三島さんに言わせると関西弁なんて
日本語じゃないそうで、「どっちが歴史が古いと思とんねん!
ワレっ!」という思いをこめて書かせていただきました。
享年三島由紀夫45歳、森田必勝25歳。
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by shanshando | 2005-11-24 15:33 | ■古本屋の掃苔帖
2005年 11月 23日

古本屋の掃苔帖 第百十一回 フレディ・マーキュリー

ああ、どうもゲイ関係の本を読むと、ときめいてしまう。
素質あるのかしら?

「フレディ・マーキュリーと私」を書いたジム・ハットン
氏は言わずと知れたフレディの最後の恋人で、彼の最後を
看取った男性でもある。
この本に関しては、賛否両論、毀誉褒貶さまざまだが、私は
読むたびに胸に迫るものを感じる。

重層に作られたクィーンの音には、メンバーとスタッフにしか
わからない秘密があると聞くが、そのリードボーカルだった
フレディその人も謎の人だった。ほんとうはバイセクシュアル
だったという噂などは序の口で、クィーンとしてデビューする
直前に別名儀でソロアルバムを作ったりしているし、あげくは
死んでから実はインド人だったという事がわかったりしている。

それら、数々の謎は世間を韜晦しようとして彼が意識的に創り
だしたものなのか、あるいは已むに已まれぬ事情があったのか、
おそらくその両方だったのだろうが、謎めいた印象が彼をカリ
スマ的なスターにした事は確かである。今どんな業界でも、カ
リスマが出てきにくいのは禁忌や陰りが少なく、なんでも露出
してしまうせいかもしれない。美空ひばりや力道山と同質の陰
りをフレディに感じる。

フレディ・マーキュリーは1991年11月24日、エイズによるカ
リニ肺炎のため他界している。
享年45歳。
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by shanshando | 2005-11-23 20:45 | ■古本屋の掃苔帖
2005年 11月 22日

ライナー・チムニク!

さて、新入荷のお知らせ!
ポーランド生まれの絵本作家ライナー・チムニクをご存知ですか?
「タイコたたきのゆめ」「クレーンおとこ」「セーヌのつりびとヨナス」
などが日本でも有名ですが、ドイツでは「レクトロ物語」というのが
テレビアニメにもなっている人気作家。
「タイコたたき‥」等を読んだ方はご存知と思いますが、かなり哲学
的な主題のストーリーを簡潔な線画で描く作家です。
このチムニクの「ビルのふうせんりょこう」が
上々堂のネット販売に新入荷!チムニクの着色絵本は私ははじめて
見ました。残念ながら一冊だけなので、速いもの勝ちです。

さて、明治29年の明日11月23日、樋口一葉が死んでいます。みじかい
生涯を家族のために働き通しだった一葉の命日が「勤労感謝の日」だと
いうのもなんだか出来過ぎですね。「古本屋の掃苔帖」はこちらから
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by shanshando | 2005-11-22 15:52