上々堂(shanshando)三鷹

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2009年 06月 30日

おに吉最新号 に関する続報!

昨日お伝えした以外にも、
西荻窪の新刊書店、今野書店さんにも置いて頂けたようです。

他にも大口、小口の配布先が色々予定されていて、
今までは、私が行ける範囲は得意の原チャリ移動で送料が
かからないように配布してきましたが、今年はそのための
予算もある程度確保し、発送作業も会計とともにとんぼ書林さん
がやってくださるので助かります。

4万部、
できるだけ、実際には上京していただくことが容易でない地方の
古書愛好家にも手にとって頂きたいのですが、予算に限りがあり
ますので、個人の方には発送に必要な予算をある程度負担して
いただくように、とんぼ書林さんではしていただいているようです。
くわしくはこちら

東京での配布先にはメンバーが参加される古書展などもあり、
それはまたそれぞれに情報を拾っていただくことにして、
基本的にはエリアに訪れていただくのが一番なのですが、
地方、東京を問わず、設置にご協力頂けるお店、公共機関など
ありましたら、上々堂までお知らせください。

告知!!
 加藤千晶さんのライブが来る7月11日
吉祥寺MAN-DARA2であり、おに吉no4の巻頭をかざる
「ほんの屋根 本屋の屋根」の演奏もしてくれるそうです。
ライブについての詳細はこちら加藤千晶食堂をごらんください!!
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by shanshando | 2009-06-30 01:15 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 06月 28日

おに吉古本案内 no4 を入手するには…

参加各店

荻窪 岩森書店 ささま書店 竹中書店 竹陽書房

西荻窪 信愛書店(新刊) ブックスーパーいとう 音羽館 興居島屋
      スコブル社 盛林堂書房 とんぼ書林(ネット) にわとり文庫
      旅の本屋のまど 比良木屋 夢幻書房


吉祥寺 トムズボックス(新刊絵本)さかえ書房 さんかく すうさい堂
     外口書店 バサラブックス 百年 藤井書店 古本センター
     よみた屋

と、カフェ ハイファミリア (三鷹) イココチ(東高円寺) コクテイル(高円寺)
そして勿論     上々堂    などの広告店

その他とんぼさん以外のネット書店で広告を頂いた。
     アジアン・ドッグ  うみ猫の各店で入手していただけますが、

他に
    新刊書店の  三省堂神保町本店4階  東京堂書店  池袋・リブロ 

地方の古本屋では
    仙台 火星の庭   奈良 ならまち文庫  京都 ガケ書房
    倉敷 蟲文庫    東京は日暮里の古書ほうろう
でもそれぞれ来週から
    置いて頂く予定です。
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by shanshando | 2009-06-28 12:12 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 06月 26日

おにきち

やうやく、やうやく出ました。
お待たせいたしました。
今度は4万部であります。
いっぱいであります。
それでも、もう昨日中に皆さんのご協力で
配本はほぼ完了。
参加各店、広告店で配り始めています。
近く、古書展や一部新刊書店でも配り始められると
思います。

今回登場するのは、唄を加藤千晶さん。
エッセイがスズキコージさん、山崎ナオコーラさん、
いつものおに吉漫画を岡崎さん久住さんのコンビが、
そのほか白夜映画祭を企画されている杉浦かおりさん
も寄稿いただきましたが、
私としては個人的に注目しているのは、商業演劇のメッカ
明治座で裏方をつとめておられる高柳幸一さんが寄稿して
くれた、「善福寺 紙モノ父子ライフ」
高柳さんは私のパパ友で飲み友達でもありますが、普段
ロウ石を持ち歩いていて、酔うとアスファルトに描く落書きが
とても小粋で、いつかこういう機会があったら登場して欲しい
と思っていた人です。

なにしろ普段娘さん相手に描いている、イラストなんかも素人
離れしているので、てっきりそういう仕事の経験もあるのかと
思ってたら、印刷物になるのはこれがおそらく初めてらしく、
最初結構緊張されていたのですが、出来上がりは上々!

今回は紙モノの話題を描いてもらいましたが、実は熱狂的な
落語やジャズのファンでもあり、お仕事柄の話題も面白い
人なので、またそういった話題もご紹介できる時があればと
思っています。

表紙は諸般の事情からにわとり文庫の西村博子さんにお願
いしました。
ご記憶の方もあるかと思いますが、かつて上々堂で「お砂糖展」
をやってくださった、あの西村さんです。
楽しくて、いつまで見ていても見飽きのしない素晴らしい表紙に
なりました。
このまま部屋の壁に飾りたいぐらいのものですが、それでは
中身の内容が読めませんので、飾るのはもし次号が出たら、
それからにしてくださいね。
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by shanshando | 2009-06-26 11:05 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 06月 24日

私じゃないよー

昨日の次第もあって、今朝は珍しくのんびり家でしてから、
10時過ぎに上々堂へ出勤。
店だしをしていると、都議選の候補者だと思うけど、選挙カー
「手を振ってのご声援ありがとうございます。」なんて言って
走りすぎていく。

昔から思っているのだけれど、あれって本当に誰か手を振っ
ているのだろうか?
いつもそういう言葉を聞くと、一体どんな人が振っているのか
とキョロキョロしてみるんだけど、ついぞ手を振っている人を
見たことがない。

今朝はうっとおしい雨もよいで、朝の10時過ぎの人影も疎ら
な路上で、そんなハイテンションな人がいたら凄く目立ったと
思うのだけど、私が見た限りそれらしい人は一人も居なかった。

だいたい、みんな傘をさしているんだから手を振ったとしても
ごく小さな身振りだったはずで、どうかすると耳の後ろが痒くて
手を挙げたのを見間違えたのかもしれないが、そこまで一生
懸命通行人に目を凝らしているというのはそれはそれで凄い
けど……

もし本当に熱心な支持者だとしたら車が行き過ぎてもしばらく
は手を振り続けているか、走り去る選挙カーに熱い視線を
送っていたりするかもしれないから、かなり注意深く探してみた
けど、みんな忙しそうに歩いているだけだ。
敢えて、半径100メートル以内でついさっきまで手を振ってい
たという可能性のある人を探してみると、それは私だけだった。

イヤ勿論私じゃありませんよ。
でもみんなが忙しそうな中で、傘も手にしていず、特に何処かへ
移動中でもないのは私だけなのだ。
エー嫌だなぁ。その政党に特になんの思いもないし、連呼している
候補者の名前なんか、これを書いている今現在既に忘れちゃった
ぐらいだけど、あの情況で私以外に「手を振った人を探している人」
がいたとしたら、その人はきっと
「あっ!あの古本屋の親父●●党の支持者なんだ!」なんて思って
いるかもしれない。そうしてその人がもし狂信的な●●党嫌いの人だ
ったりした場合、「なんだあの本屋じゃもう本は買わない!」とか、
「村上春樹の生原稿を売ってやろうかと思っていたけどやめた!」
とか思ったかもしれないじゃないか!

ああ、なんという失策!
なまじ好奇心から選挙カーの方向をむいてキョロキョロなんかしてし
まった為にウチの店が潰れたらどーしてくれる●●党!
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by shanshando | 2009-06-24 12:27 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 06月 23日

千冊は不発…しかし

前回も書いたように、この時期の買取は天気予報、距離、出張先の環境
など事前調査が怠れません。
人員が余分に居て、車両なども充分あれば、急なアクシデントにも如何様
にも対応できるでしょうけど、私のように最低限の起動力しか敢えて持たず
に結果を出そうとするものは、充分な調査と知恵と根性でカヴァーする以外
ないのです。
機動力を得ることは勿論手続きとしては容易です、景気の動向が不安定な
時代に物を多く持つことはあまり良い知恵とは言えません。
そんなこと言ったら、店を二つもやっているのが一番の無駄なのかもしれま
せんが、成り行きで始めた以上、どちらの店にも愛着があるから、なんとか
巧くいくバランスを探りながらやっているわけです。
まぁ私の場合は住居に家賃をかけないで済む手を早期に打ったので、
片一方の店の家賃はその代わりと思えばなんとかやれなくもないわけです。

さて、今回の買取はやはりお引越しを控えての本の整理で、前もっての
情報では千冊はあるということだったので、私はとにかく今日伺って、物を見
た上で明日輸送の手筈を立てていたのですが、残念ながら確かに千冊は
優にあった本はどれも買えないものばかり。
殆どの本が裸で、且つ内容的にも古い実用書など商品にはならない物ばか
り、お客様によればウチの前にも数軒の本屋に内容を話して、出張を依頼
したところけんもほろろに断られたとか、道理でウチにかけてきた時は、微妙に
内容をぼやかされたわけだ。

しかし、こんなことは私にとっては日常茶飯事。
何しろ「駄目そうでも一応行って見る!」が、合言葉!って、一人だから独り言
か……。
とにかく、千冊もあれば正味全然空振りということは絶対ないわけで、事実
今日の買取でも音楽関係のちょっと良いところと、大活字版の辞書数冊。
それに昭和30年代の学習図鑑のシリーズが買えました。
学習図鑑は経験上興居島屋のほうがよく売れるので、ニシオギへ、残りは
上々堂。
紙モノの匂いがするお宅だったので、しっかりこの後のお片づけで出てきた時は
ヨロシクオネガイシマスと念を入れ帰ってきた。
よく興居島屋に来られたお客様とか同業が市場で買わずに何処でこんなに紙モノ
を仕入れるんだ?と不思議がりますが結局こういう日日のプッシュの賜物なので
ありました。

みなさん!「駄目かな?」と思ってもとりあえず本の整理は上々堂にお電話ください。
私も「駄目かな?」と思ってもとりあえず伺いますので。ただ…
「駄目だわ…」と思ったらお断りするかもしれません。まぁめったにないですが。
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by shanshando | 2009-06-23 19:41 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 06月 21日

雨降りだろうと…

今朝は西東京方面に美術全集の買取。
集英社のどでかいヤツで、不揃いだけど図版がワリと良いから
けして売れ残ることはないが、何しろ一冊持っただけでも蒲柳の質
の私などは腱鞘炎になっちゃいそうなほど重い。
表で安く売るにしても出し入れが結構大変。いやそれ以前に輸送が…

愛車のジャイロに積めなくはモチロンないけど、天気予報は雨。
赤帽を頼んでいたんじゃ、利益はまるで無くなるし、往復するには
西東京はちと遠い。
冊数やモノはあらかじめ判っていたから、昨夜のうちに効率的かつ
安全な積み込みのシュミレーション。
準備万端整えて、まぁなんとかイケルか!と床に就き。起きてみると
予想以上に強い雨脚、いきなり出足を挫かれたけど、何しろこのお客様
は引越しのための御整理。「日延べ猶予は相成らんぞっ!」なんて
「大工調べ」のお奉行さまじゃないけど、とにかくなんとしても今朝中に
やらねばならない。

用意の合羽を着込み、本を雨から守るための品々を持って、休日は
空いている青梅街道を西へ。グーグル地図のストリートヴューであら
かじめ確認しておいたマンションの前にバイクを停め、共用廊下で合羽
を脱ぎ、聞いていた部屋のチャイムを鳴らしたが、反応がない。
約束の時間にはちょっと早いから、まだお休みかしら?
戸惑いながらも時間まで部屋の前で待つことにして、降りしきる雨を
眺めていると、携帯に着信。
なんのことはない、お客様が引っ越し前の住所と引越し後の住所を間
違えていたのだ。つまり私がチャイムを押していた部屋にはまだ誰も
住んでいないのだ。やれやれ
しかし幸い引越し前の家もすぐ近所だったので、も一度合羽を着込んで
移動。
当然のことながら、今度はチャイムに応答があり、またぞろ廊下で合羽
を脱ぎ、お客様の玄関へ。


引越し作業の疲れで憔悴した感じのお客様は、さんざん侘び言われるが、
こちらは実際ちっとも気にしていない。
これは無理して作った営業フェースではなく、買取先ではアクシデントが
つきものなので、一々気にしない癖がついているのだ。
イヤイヤベツニベツニ。どーもどーも

玄関先まで件の重い全集を出してきてくださり、外廊下の自然光で状態を
チェック。商談成立して、私が本を縛る間も傍にいて、子供の頃から好きだ
ったという画集との別れを惜しんでいらっしゃる。
なんだか私は人買いのオジサンみたいな心持だったけど、「やっぱり置いて
いきましょうか」とは云えない。やっとの決心で売ることにされたのだ。
余計なことを言うもんじゃない。
四冊ごとに束にして、それぞれを厚手のビニール袋で覆い。バイクの後ろ
の箱に立てていく、長辺が40センチ以上あるから蓋が持ち上がるが、上から
シートで覆って、これで完璧!さらに強くなった雨脚のなか三鷹の上々堂へ、
合羽の襟や足元から浸み込んだ雨で私はびしょ濡れになったけど、本は
無事。めでたし、めでたし。

合羽を脱いで濡れたものを着替え、店だしを終えた頃にはもうぐったり。
報告を急がねばならない預かりの査定を済ますともう体は動きまへん。
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by shanshando | 2009-06-21 17:40 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 06月 20日

桜桃忌あけ

金曜だったから、午前中しか上々堂に居られませんでしたが、
今朝記録を確かめると、昨日は桜桃忌らしい盛り上がりだったようで、
とにかくホッとしています。

上々堂のオープン当時は、桜桃忌が近づくとその為の仕入れに心がけたり、
店の前のディスプレイを考えたりしたものですが、なんだか近年は
桜桃忌そのものの来客数も減り、たいした盛り上がりも期待できないと、
段々横着になっていましたが、今年は生誕百年もあいまって、盛り上がり
そうだなあとは思ったのですが、生憎というべきか(いや言うべきじゃないん
ですけど)昨今は普通に買取が忙しく、体の不調も薬で誤魔化しつつ、
毎朝1.2件の出張買取をこなす日日。
とても桜桃忌の為だけの仕入れなんてやっていられませんが、まぁ結局
買いが多いということは、即ち商品の充実度が高いわけで、結局まぁ
遠来の皆さんのお目にかけて、申し分のないだけのものは揃っていたと
思うのですが……。

おに吉no4は本当の本当に今度こそもうすぐですが、制作に関わっていて
思うのは、おに吉一群からの上々堂の微妙な離れ具合。
なにしろ駅から結構遠いので、おに吉あたりを習慣的に廻っているお客さん
でも、上々堂は寄らないという人が結構いそうなのですが、実はこの立地は
集荷にはかなり有利で、他店が市場で無理して競ってくるような品物が、
普通にお客様から買い取れる。
競合店が少ないから?
いえいえ、それよりも自己満ぽいですが、やはり少量でも出張買取する姿勢
がお客様のお役に立っていると私は思っています。

なにしろ出張依頼はめったに断ったことがないのです。
だから、子育て中のお母さんとか、年配のお客さんとか、紙袋一つ分でも
運ぶのは結構大変という方から声がかかる事が多く。そういう積み重ねが大口
にも結びつくし、少量の時も上々堂に合うものを売って下さることが多いものです
から、本当に無駄がすくないのです。

古本屋の中には客買いは一切しないという人も居て、それは大抵専門分野の
はっきりした通販の専門店だったりするのですが、私は逆に市では一切買いません。
結構マニアックな興居島屋の品揃えも含めて、客買い一本やり。
「よく集まるね」とお客様のみならず同業からも言われますが、なあになんとか
なるものです。
とは言っても、やっぱり体はキツイですけどね。

これを書いている今は興居島屋ですが、五時には交替して上々堂へ、
昨日の余波でこの週末は期待できると踏んでいるのですが、どうでしょう?
来週は千冊の大山を含めてまた何軒かの出張がすでに決まってます。
今度はどんな山にぶつかることやら…
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by shanshando | 2009-06-20 15:33 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 06月 17日

霧と狐と活字と船と

まったく忙しいというか、忙しない日々を過ごしています。
今年は本当に上々堂の買取が凄くって、お客様にも指摘されますが、
もう、これでもかっ!とばかりに良書が押し寄せて、なんだか
嬉しいような、怖いような。

結局、なんだか皆さんが生活の設計を見直される時期が来ていて、
それで不要の本の整理をしていただいているのではないか?
と、思ってますが他店はどうなんでしょ?

なにより嬉しいのは、上々堂のテイストを理解したうえで、売ってくださる
お客様が多いことで、なんだか景気のほうはどうなんだか…?と言う状
況みたいですが、古本屋は買いがあるかぎり死なないと言うことを
実感しています。

忙しい最中、体も壊しがちで、先日の休みはついに臥せってしまいましたが
日がな布団の中にいて、薬のせいで朦朧とした意識を書物の文字に溶け
込ませていると、いい年ぶっこいた親父が恥ずかしながらでありますが、
子供の頃に戻ったようでハハお恥ずかしい。

休み明けにネットで気になるブログを発見。
もう皆さんご存知でしょうけど、一応ここに貼り付けてみます。
本物だかどうだかはともかく、少なくともこの人の文章の巧さと、そこから伺える
頭脳の明晰さは本物で、なんだか世の中凄い人がいますね。

私みたいな脳細胞がアルコールで溶解されつつある男は、こういう明晰
な女性に惹かれるのでありますが、まぁ月とスッポンというか、泥鰌が金星
に憧れているようなもんですね。

蕩け切った脳細胞に薬が巧くブレンドされちゃって、最近ではあらぬ妄想が
頭蓋にはびこっていまして、それが「霧と狐と活字と船と」。
店番をしている私が、もし遠い目をしていたら、心ははるか彼方大西洋沿岸の
街に飛んでいるとお考え下さい。(なんじゃそら?)
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by shanshando | 2009-06-17 18:49 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 06月 07日

シロカタ、少しカタより

その昔自販機本の王者として知られたありす出版の本が
古書業界で、もてはやされた時代がある。…と聞く。
何故断言しないかというと、その頃私はまだ商売人じゃなかったし、
エロ本の類には通常の健全な男子なりには興味を持っていたが、
特にブランド指定で買うほど嵌っていたわけじゃないからだが、
とにかく先輩から聞いたところによると、ありすは売れた
らしい。
市場などでも多少無理して落としても欲しいぐらいに売れたから、
先達はこれを「エロの岩波」と呼んだという。
ありすは売れたけど、岩波はもっとそれ以前に
売れていたということである。

ある地方出身の女性、古本屋のことをあまり知らないままに東京で古本
屋を始めてしまった女性は、彼女にとって意外なことに岩波文庫がかなり
売れることに驚いていた。
そう、地方都市で普通に生活している人の多くは岩波文庫なんか、一生
に一冊も読まなかったりするのだ。
それを即ち地方の知的水準の低さと言ってしまうのは勿論早計で、事実
上々堂の通信販売だって、絶版岩波文庫の多くは地方のお客様に売れ
ていくのだが、つまりこれをつづめて且つお世辞まじりに言ってみると、
「地方にも勿論カタい筋を好む読書人は居る。いやむしろ読書に没頭する
環境と言う意味では、真の読書家は地方にこそ居ると言っても過言では
ない。しかしそれでも尚且つ相対的にはカタい読書人の人口自体は東京
に集中しているから、需要と供給の法則に従って、それらの本は東京に
集中することになる。」ということだ。

私自身は無教養で不勉強な人間で、とても読書家だと人様に言えるような
ものじゃないから、ある時は時流におもねり、ある時はその時流にもついて
いけず、特にポリーシーがあるわけでもなく美術書や絵本を好んで扱って
きたが、最近所謂シロカタがよく売れる事を思い知っている。
シロカタというのは人文や社会科学系統の左程専門的とは言えないけど、
わりとカタめの本ということで、これはちょっと昔から売れると言われていて
上々堂ではもうずっと売れ筋のひとつなのだが、興居島屋では相棒の趣味
と偏見もあって、私がうっかり見逃していると、それらの本は均一に回され
たりしてしまう。
均一に回せば勿論喜ぶお客様はいるわけだが、良いと判っているものを
安く買い取るわけにはいかないから、仕入れ担当の私としては、相応の値
段で踏んでいるのに、勝手に均一に回されてはドンドン赤字を作っていくこ
とになる。

まぁしかし相棒がそういう判断をしてしまうのもある意味でしょうがないところが
あって、ここ十年くらい人文はともかくやはり社会科学系統は全然駄目だった。
それがここ一年くらいちょっと傾向が変わっている。
例えば廣松 渉の本なんて、私だって三年前までは無条件で均一にいれるか、
下手をするとツブしていたが、最近は時代の要請もあってか、結構売れるのだ。
あれ?でも廣松渉って社会科学の分類していいのかなぁ?うーん馬脚をさらし
っぱなしだが、とにかくマルクス主義関係だから一応社会科学のつもりなんだけど
とにかく、棚に出したのが気がつけば売れているという状態なのだ。

分類もよくわからんヤツが言うセリフじゃないけど、なんとなくモダン古書なんて
いうマスコミの造語に未だ市場の大半が呪縛されているような感のある業界だが
やはり時代は刻々と変わっていて、だからウカウカとしていずに今日も今日とて
背表紙学問のお粗末を続けているわけでありました。
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by shanshando | 2009-06-07 12:26 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 06月 05日

佇む

西荻窪駅の北口の真向かいにある飲み屋街の細道を入って
3分ぐらい歩くと右手に黄色の地に黒く古書の文字が見える。
これがわが興居島屋の看板。
店の正面に立つとその看板の裏側が見え、こちらはこの14年
知っている人にはケッコー知られた「アラカンの鞍馬天狗」。
相棒のスミコさんの作品である。

この場所で商売を始めた理由はまぁほぼ成り行きというか、
当時の私の懐具合と自信に見合う価格の家賃がもっとも大きな
理由で、当時は今みたいにお洒落な店は周辺になかったけれど、
いかにも当時のニシオギらしいおっさん好みの居酒屋は多かっ
たし、なによりもうちょっと先に行くと、銭湯好きには堪らないほど
のゆかしい造りの玉の湯があり、戻るとジャズ専門のライブハウス
アケタの店があり、すこしはなれた善福寺川沿いの小高い処には
ケヤキの巨木があり、なんだかすべてがいい感じだったのだ。

ケヤキの巨木は多くの人の声に守られ先年伐採の危機を乗り越え、
今も変わらず街を見下ろしているし、オッサン好みの居酒屋は時流
に乗って若干お洒落に生まれ変わったし、アケタの店は聞けば相当
なオーナーの意地によって支えられ、今もジャズ一本のライブを
行っているけれど、この度とうとう玉の湯が廃業することになった。

興居島屋にとってはケヤキがお父さんで玉の湯がお母さんみたいな
存在だっただけに残念でならない。
この14年の間に私が認識しているだけでも、3軒の銭湯が姿を消した
が、みんなに人気の玉の湯だけはいつまでも大丈夫と思ってきたが、
やはり時流には適わなかったということか。

毎日何人もの人々が「廃業のお知らせ」の前で佇んでいる姿を見かける。
多くはお風呂セットを小脇に抱えたお年寄りで、「お知らせ」が張り出され
てもう大分なる今日あたりに佇んでいたのは、おそらく家にお風呂がある
けれど、やっぱり銭湯が好きで月に何度か来ていた人だろうけれど、
利用者の多くは未だ周辺に残る風呂なしアパートの住民で、お風呂屋の
廃業はそれらアパートの大家に建て替え、売却を考えさせずにはいない
から、廃業の決断の裏に地元の顔役的不動産屋の介在が容易に想像で
きる。
多分Wあたりが咬んでいるのだろう。
街から良い建物が無くなるとかならずWの看板が立つ。

街は時代に合わせて生まれ変わるのが当たり前で、だから益も無い
感傷に浸っているわけにもいかないが、玉の湯の廃業にがっかりしている
人が多いのは事実で、そういう人たちにはやっぱりWは愛されない。
愛されなくたって金と物件を握っている不動産屋は誰からも排斥されずに
街で大きな顔をしつづける。
不景気とはいっても逞しい不動産屋はあの手この手で稼ぎ、ささやかな
愉しみを失ったお年寄りや、風呂なしアパートの住民は雨の中で佇んでいる
よりほかにしようもない。

やな世の中だ。
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by shanshando | 2009-06-05 19:08 | ■原チャリ仕入れ旅■