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2009年 09月 29日

大根屋政談

朝、例によって出張買取のため上井草のお宅に伺って、
ダンボール一個分くらいの本を運び出したところで、
白州の玉井くんから電話が入った。

玉井くんは田中泯氏の弟子の中でも今や現役最古参になるダンサーで、
かつお百姓さんなのである。
というか、田中泯氏のカンパニーの人はみんなお百姓さんなわけだけど、
彼はダンス歴も百姓歴も一番のベテランで、お百姓さんとしての実力の
ほどは、私はよく知らないけど、ダンサーとしてはかなりの実力で、とくに
大きな自然を背景にして踊る時のダイナミズムは近年益々凄みをだしている。

11月の上々堂の「屋上ダンスイベント」にはトップバッターで踊って
もらう予定で、だから今朝の電話は下見の打ち合わせ。

都内の無農薬野菜の専門店に納品かたがた、踊る場所を見に来ようという
わけだ。話はもう簡単に恙無く済んだのだが、その後で大将でおずおずと、
「あの大根が……」と言い出した。

今年は大根が豊作なのか、諸方に納品してもなおあまりがあるらしい。
「そっちの店の前で売って貰えないかな?」

古本屋で大根!?
いや、面白いんじゃない!大根と古本ってなんだか結構マッチするよ!
でも、預かっても売れ残ると困るよね!
そこで、私は朝から大根屋に変身である
なにしろ若い頃八百屋の店員としてかなり有能だとのお墨付きを頂いている
から、売り捌きにはかなり自信がある。
しかもモノが良くって安いんだからこれは何百本でも売れそうだけど、
基本的に彼が下見に来るその日は午後から個人的な休みの予定だから、
予約販売のみということで、今回は知り合いご近所を中心に声をかけた。

勿論反応は上々で声をかけた人のすべてが気持ちよく買ってくれる。
ああ、古本もこの調子で売れてくれたら……

というわけで、白州身体気象農場産の無農薬大根を特別価格で1日木曜のみ
限定販売!値段はあえて報せないけど、はっきり言って無農薬じゃないものを
スーパーで買ったってこんな値段はない。という値段。

もし食べてみたいという人で、10月1日上々堂に来られる人は現行の日本の
硬貨で下から五番目に安いやつを一枚もって買いに着て欲しい。
ただし予約制なので今日9月29日火曜日にお電話をいただいた人だけとさせ
ていただきます! 0422-46-2393 あるいは080-5409-5540にどうぞ!
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by shanshando | 2009-09-29 16:32 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 09月 23日

樗牛全集

全集の端本というのは、売ろうと思って持ち込むと、
それが誰のどの全集の何巻かにもよるけど、概ねどの古本屋
にもいい顔はされない。
べつに古本屋がいい顔をしたって、つまらない顔をしたって、
そんなことは気にするほどのことでもないけれど、重たいもの
をエッチラホッチラ持ち込んで、これは駄目ですなんて言われると
あまりいい気分はしない。……しませんよね?

勿論古本屋にしてみりゃ、生活がかかっているんだから、そう
お人よしにもなっていられない。
所詮売っていただけなければ成り立たない商売なのだから、
わざわざお持ち戴いたものをお返ししなければならないのは断腸の
思いなのだけど………イヤほんとうに。

私がなるだけ出張で伺うようにしているのは、その辺のことを考えて
であるが、まぁそれは何度も言ってるのでいいとして、樗牛全集。

百鬼園先生の「阿房列車」の冒頭の章にわずか2銭の旅費に窮して
持っていた樗牛全集の7巻を売る話が出てくる。
同じ漱石門下の龍之介(わっ呼び捨て!!)の「樗牛の事」という文に
も、中学生の時樗牛全集の5巻までを購入したが、うち3冊は今見当
たらないから、「あとはおおかた売り飛ばすか、借しなくすかしてしま
ったのであろう」という、戦前の古本屋は全集の端本にちゃんと値をつけた
わけだ。
それも旅費の足しになる程度の値段は…。

今、はっきり言って復刻も出ている樗牛全集の端本を持ち込まれても
私は多分買わない。
いやそれは勿論私の不勉強の所以であるかもしれないけど、少なくとも
当店では商売になる可能性はほとんどないから、それだけじゃとても
買えない。百鬼園先生ならぬどなたかが、旅費の足しになければ困る
からと言われても、やっぱり買わない。
買わない、買えないことを自慢げに言うのではなく、むしろそうやって
せっかくの書物を粗末にしなければいけないこんな時代のこんな国に
生きていることになんとなく疑問を覚える。
樗牛全集が出版されたのは未だ百年も経たない大正末から昭和初期に
かけてで、西洋流のアンティークの概念からは外れるわけで、こんな
短時日でこの書物の価値が無くなってしまうなんて、樗牛は勿論、百鬼園
龍之介も想像だにしなかっただろう。

無駄な出版が多すぎるのだ。
文化というのは無駄の集積という考え方もあるかもしれないけど、毎日
何冊ものツブシの処理をしなければならない身にしてみれば、とてもこの
状態を百花繚乱とは言い難い。
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by shanshando | 2009-09-23 15:56 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 09月 22日

シルバーウィークつっても

いったい本当はどれ位の人が休んでいるんでしょう?
銀行とか郵便局、役所なんかは冗談抜きでカレンダー通り休み
やがって、迷惑このうえないですが、夏休みがあけたばかりの
小学生中学生にとってはおまけみたいなもんで喜んでいるかも
しれませんが、ウチみたいな在京の自営業者にとってはほとんど
意味がないです……でもないかな?

買取に伺うと、いかにも「休み~」っていうかんじで、みなさん寛い
でいらっしゃいまして、羨ましい限りでございます。
こんなことなら、もうちょっと手堅い人生を歩んで休日がフルにとれる
職についておけば良かったなんて思いますが、まぁねぇ~結局ドロップ
アウトして同じような事してんだろうなぁ。

ところで、全然関係ありませんが私NHKのこども番組「いないいないばあ!」
のわんわんのファンです。声優が着ぐるみを着ている珍しいパターンなのだ
そうですが、このチョーさんという方、相当な芸達者でかつ企画力の持ち主
とみました。なんかノッポさんに匹敵する。いやそれ以上の人かもしれません。
毎朝、至芸を堪能してから仕事に出ると元気が出ます。
頑張れ!わんわん!
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by shanshando | 2009-09-22 11:26 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 09月 20日

そんな畏れおおい…。

興居島屋の名をつけたのは実は私の父で、これは
何度もいろんなところで話したことだけど、先祖が居住していた
瀬戸内の島の名前である。
関西地方にはこの島の名がついた蜜柑が結構出回っていて、
街中で「ごごしまみかん」なるダンボールを見かけることも
少なくないようだが、「ごごしま」とはじめから平仮名表記をして
あるくらいに、漢字での島名は知られていない。
すんなり読めるのは精々愛媛県も松山周辺の人ぐらいだろう。
はっきり言って読めない漢字を店名にしたのは愚だったかもしれ
ないが、お陰様で十五年経てば少しは人様に覚えていただけた
ようである。

店名はやっぱり読みやすくなくっちゃ!という言葉を開業以来
言われ続けたのに、次の店が上々堂では学習能力を疑われても
いたし方ない。
大抵「じょうじょうどうさん」と呼ばれる。
間違って呼ばれて、そのままというのもなんだから、やはり
「しゃんしゃんどうと読みます」と断るが、「上々」を「しゃんしゃん」
と読むのにはやはり無理があって、理解されるのに少なからぬ
時間を要する。
最近では面倒くさいと正さない場合もあったりする。
まぁ「じょうじょうどうさん」でも大過はないでしょう。
しかし、先ほど店の前を通っていったお客さんにはマイった!

連雀通り方面から来たところをみると、芸術文化センターか、禅林寺
にでも来た遠来の人なのだろう、「あっ古本屋だ!」といいながら
店内を一瞥、続いて日除けに書いてある店名を確認しながら、
「ふーん、『かみがみどう』か……」

いや~いくら私でもそんな傲慢な名前はつけませんよ。
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by shanshando | 2009-09-20 14:41 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 09月 18日

六周年

上々堂の開店の時、同業者から「まず5年もてばなんとか続くだろう」
と言われた。
駅から結構はなれた立地はかならずしも好適とは言えないことを案じ
ての助言だったと思う。
私とて、その段階ですでに10年近いキャリアがあったわけだから、
この場所はこの場所なりの精算がある程度あって始めたわけだが、
勿論不安要素がなかったわけではなく、助言はありがたく肝に銘じた。

正直なところ、「想定内」でなかったことが大きく数えて二つあって、
それはまず世の中の消費動向が予想よりもずっと加速度的に悪くなった
事と、それから予想以上にこの地は文化度が高く、買い入れで入ってくる
本の質が高いということ。
いや、他の商売の仕方ならいざ知らず私が理想とするところの商品には
本当に恵まれているのだが、なにしろ「私が理想とするところ」というのが
必ずしも経済効率のほうの都合と合致しないから苦労するわけで、これに
関しては自業自得というわけだ。

とにかく当初の目標の5年目をなんとかクリアーして、この十月で6周年
となるのを記念して、イベントをやることにした。

といってもあんまり本と関係ないのだが、上々堂の入っているウェザーコック
三鷹の屋上でダンスの公演を開こうと、もう出演者も依頼し、今はチラシの
制作に入っている。
タイトルは「西暦2009年の屋上から一穂の空へ」
今年、三鷹は太宰で賑わったわけだけど、へそ曲がりの私は一般受けの
する太宰より、同じ三鷹在住の文人でいながら今や殆ど忘れられた存在
になっている吉田一穂のほうが好きなのだ。

太宰は金になるから、ほおっておいても自治体や企業が盛り上げるけど、
一穂は物好きな古本屋が物好きに言い出さないかぎり誰も言い出さない。
しかし、一穂はかなりインパクトの強い詩人で、とくに削りに削り込んだ
詩作品は嵌るとはてしなく想像野をひろげていくのだが、詩論集などの
文章は難解すぎて歯が立たない。
読み砕けば、かなり現代に通じることを言っていて、ある意味SF的だったり
日本語に対する意識もかなり特異で面白いと思うのだが…

とにかく、一穂に関するイベントは実は他にも企画中で、当分私自身一穂
漬けなのだが、悪い頭で大碩学に取り汲もうというのだからかなり無理は
あって、最近かなり夢見が悪い。
昨夜などは、氷川きよしの家を訪ねて二人で階段の手摺をベビーロールで
飛び越える練習をしていたが、あれは一体何なんだ?
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by shanshando | 2009-09-18 11:32 | ■原チャリ仕入れ旅■
2009年 09月 04日

ちょっと休もうか

さーて、落語の続きを……と、思っていたら
急に気分がぐぐっと盛下がってしまった。

夏の間、むりやり自分を躁状態に追い込んでいたから、
精神がリバウンドしちゃったのかな?
リバウンドっておかしいか、さがってんだから……

このところ、狭い世間のなかでどう見込まれたか、思いつかれたか
知らないが、立て続けに短文を求められて、なんというか根が真面目
………というよりは関西人特有のサーヴィス精神と下手の横好きで、
一生懸命書いてしまった。

ひとつは古書月報に載る、組合員の持ち回りコラムみたいなもので、
今まで付き合いの悪いほうの興居島屋さんには声がかからなかった。
(付き合いのいいほうの興居島屋さんもいるのです。二重人格ではなく。)

もうひとつは、今年知り合ったダンサー桜井郁也氏のチラシに載せる文。
これも初めての体験だ。

無責任に書きたらしているブログの文章と違って、仮にもそれぞれ人様
が真剣に取り組んで創る印刷物だから一生懸命書くのは当然だけど、
素人の私があんまり一生懸命すぎても文章が硬直してしまってつまらない。

月報のほうは約束を忘れてしまうのが怖くて、山梨に発つ前に書いてしまった
から、躁状態で、乱文をそのまま出してしまったので、言葉の重複や、句読点
の変さなどがあるに違いないが、これは刷られるまえにもう一度見直すこと
が出来るそうなので安心のようでもあるけど、もし壊滅的に駄目だとどうしようか
とビクビクしながら待っている。

桜井氏によせる文はご本人が純粋で真面目な人なだけに、私も襟を正さずを
得ず。なんだか本当に私なんかでよかったの?という感じだ。

毎年この時期の心配事は定期健診の結果で、受診自体は早めにやっていても
結果を聞くのが恐ろしくって、いつも愚図愚図してしまうのだが、こちらは昨日
意を決し、家族に遺言を残してから聞きに行ったが、早い話が例年通りの
「憎まれっ子世にはばかる」ということで、やれやれ、精神のほうはリバウンドという
か、リフォールというかしてしまったけど、体重はリバウンドしないし、残暑も
またやって来るのかしれないけれど、とりあえず今は涼しいし、まぁゆっくりゆっくり
復調するしかない。

落語の後編はまた近いうち。
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by shanshando | 2009-09-04 11:52