粗大ごみの日、
向かいのマンションの前に跳ね上げ式のティーテーブルがひとつ出されていた。
見たところ故障箇所もないようだ。
あったとしたって、工夫次第で何とでも直せるはずなのに、もう捨てちゃうんだ…。
お引越しかな?
気にしてるのは私だけではないらしく、行過ぎる多くの人が一瞬そこに目を注い
でいる。
「いいなぁ、ウチににもああいうの欲しいけど、粗大ごみのシールを貼ってあるか
らねえ……」そんな感じで多くの人が観ている。
私は…、私もやっぱり欲しい。買えば中古でも3万はするだろう。
これが買い取り先のお宅なら、あつかましく「ご不要だったらいただけませんか?」
と言えちゃうのだが、さすがにマンションのインターフォンを鳴らしてまでは言いにくい
し、それにもう買取の時間だ。あきらめて買い取り先のお宅へ。
ダンボール三箱分くらいの本をいつもの現チャリに積み込んで、上々堂に向かい
走り始めると雨が降り出してきた。
あのティーテーブルも濡れていることだろう。
濡れているその様を想像すると、なんだか、全然自分の物でもないのに、物悲しく
なってきた。