2005年6月28日火曜日 晴れのち曇り
王子のさくら新道をご存知だろうか?
JRの王子駅のホームに降り立つと南西方向に
飛鳥山公園が見える。
その麓に本当に忘れられたように、正真正銘の
昭和初期の造りの飲み屋横丁がある。
今流行りの「昭和風」ではない。
いっそ不気味なまでに完全にタイムポケット状態
なのだ。
棟割になった店舗は全て一階より二階が大きく
張り出して、それぞれの窓には木の手摺がついている。
店と店の間は数軒おきに路地になっており奥に
共同の水場がある。
聞けば、闇市の名残だということだが、駅をはさんで
逆側にある柳街がそれぞれ店ごとの工夫で改装され
ているのに比べ、こちらは見事に往時のままであるように
見える。
自動車道からかなり奥まって、飛鳥山の山陰に隠れる
ように、外界から隔絶された雰囲気は否が応でも淫靡
な想像を掻き立てる。
荷風ファンや、滝田ゆうファンには必見の場所だ。
ただ、入り口の戸が擦りガラスになっている店が多い
為、入るのには相当度胸がいる。