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上々堂(shanshando)三鷹

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2005年 09月 09日

古本屋の掃苔帖 第五十一回 夏目雅子

「佳人薄命」なんて言葉で各マスコミがその死を悼んだ。
「佳人」という言葉は辞書でひくと、「美しい女、美人
麗人」と出てて。まぁ、そうなんだけど…。そのとおり
なんだけど…。
1985年の初秋に、この女優の訃報にマスコミがつけた
修飾語に触れた時に、少なくとも私が感じた「佳人」は、
「美人」や「麗人」とはあきらかに異質の、もっと涼やか
な存在感のイメージを語る言葉だった。

なんて、まどろっこしい言い方なんだ。
要するに、夏目雅子はそんじょそこらの美人女優なんか
とは全然ちがう、存在のオーラを持った女優だったんだ。

体の中にちいさな太陽を一個、しのばせているんじゃない
かと思わせるような明るさと、
うなじが風が吹かれだけで、消え入ってしまいそうな果か
なさとを、持ち合わせていた。

母親である小達スエさんが書いた「ふたりの『雅子』」を読
んだ。
複雑な気分である。
たぶん本の売れ行きを考えた編集者があえて書かせたん
だろうけど、この本には結構スキャンダラスな事も書かれ
ていて、大ファンの私としては知りたくなかった。
桃井かおりと、伊集院静をはさんで三角関係とか、こういう
事はたぶん当時も女性週刊誌なんかが書いてたんだろうな。
結婚まえの妊娠中絶とか……
それは女優だって人間だから、いろいろあるに決まっていて、
それでも私みたいな単純なファンは映像の中の姿だけで充分
なのになんで暴露したがるんだろう?

生きてれば47歳か、どんな役をやってただろう?
「鬼龍院花子の生涯」は映画はよくなかったけど、夏目雅子は
カッコよかった。
確か、婚家で育ての親を悪くいわれて開き直るシーンだったと
思うけど、「なめたらいかんぜよっ!」って言う台詞の最後のほう
が鼻の奥にこみ上げた熱いものを堪えてる感じで、それがとても
セクシーだった。

「あたしが治るまで芸能界が止まってしまえばいい!」って言って
たらしいけど、なんかやっぱり腹の底に熱いものを持ってたんだね。
ああ、生きてたら……。

伊集院静との恋愛も相当激しいものだったみたいだみたいだけど。
その点につきましては、私、あの……。
伊集院静なんて大嫌いだ!
雅子を桃井かおりなんかと天秤に掛けやがって。
もう、上々堂にある伊集院静全部燃やしたろうかしら?
伊集院には痛くも痒くもないだろうけど。

夏目雅子1985年9月11日 骨髄性白血病で死亡。
享年 27歳。

と、書き終えて、送信してようやく気がつきましたが、いつのまにか
一日とんでました、そう9月9日が飛んでました。後戻りしようかと
思いましたが、戻るのは性格にあわないので、とりあえず今週は
このまま、休みで調節します。

by shanshando | 2005-09-09 22:11 | ■古本屋の掃苔帖


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