2005年 12月 14日
他の地方都市の音楽事情はよく知らないが、 京都という土地は、昔から東京中心に広がる音楽文化圏 とは様相を異にする音楽的島宇宙のような土地で、現在も 「ふちがみとふなと」というとっても個性的で素敵なバン ドがここを拠点に全国展開していたりする。 その昔には京都フォークなどという言葉もあったと記憶す るが、私が棲んでいた70年代後半から、80年にかけては カントリー&ウェスタンやブルーグラスが彼の地のライブ ハウスやラジオを賑わしており、その中心にいたのが「高 石ともやとザ・ナターシャセブン」であった。 毎年行われた「宵々山コンサート」には近県から大勢の観客 が集まり、ライブレコードは飛ぶように売れた。 このバンドの一員でそのさらに昔には「はしだのりひことク ライマックス」の一員であったのが坂庭省悟である。 クライマックス時代の活躍は私の世代だと、わずかにはしだ と北山修との共作「花嫁」が思い出されるくらいだが、ナタ ーシャ時代の楽曲はほとんどすべて聴いている。 純然たるブルーグラスやカントリーのインストゥルメンタル も良かったが、私はどちらかというと日本語の歌詞がついた センチメンタルな曲が好きだった。いまや立派にどす黒いお じさんに成長した私も、その当時は花の色や季節の風の匂いに 涙する純情な青年で、暮夜ラジオから聞こえてくるナターシャ の歌を聴いては涙したりしていたのだ。 逃げるように京都を去って四半世紀、ナターシャセブンの歌など あまり思い出さなかったのだが、先頃メンバーの一人城田じゅん じ氏にまつわる事件を新聞で読み、昨日偶然坂庭氏が2003年12 月15日に癌で亡くなっていたと知った。 1983年にナターシャが解散したのち、坂庭省悟は城田じゅんじ とのデュオのほか、ソロやまた先年亡くなった高田渡とも活動し ていたらしい。 ひさしぶりにナターシャセブンが聴きたくなった。 そして、京都に行きたくなった。今頃の京都はめちゃくちゃ寒い だろう。昔、ホットウィスキーをよく呑んだ店はまだやっている だろうか? 坂庭省悟 享年53歳
by shanshando
| 2005-12-14 21:10
| ■古本屋の掃苔帖
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