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上々堂(shanshando)三鷹

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2006年 07月 16日

読書の方法

2006年7月16日日曜日 くもり


曇ってはいるけれど、この時間まで雨の降らない日曜日は久しぶりだ、
と思っていったいいつ以来なのか、当日の天気を簡単に書きこんでいる
上々堂の売上ノートをめくってみたら、どうやら6月4日以来のよう。
雨が降らないことに安心したのか、徐々に往来を行く人も増えてきたので、
このまま降らないことを祈るばかり。
みなさま、いかがお過ごしですか。

外出するときは、本が鞄に入っていないと落ち着かないので、たいてい
何かしら読みかけの本がありますが、どうも最近は読んだ本の内容を
すぐに忘れてしまう。
忘れてしまうほどつまらない本だった、ということでもない。こないだ
読んだこの本がおもしろかった、と人に説明しようとして、はた、と
立ち止まる。何がどうおもしろかったんだったか、断片的なエピソードは
出てきても、順序立てて説明することができないのだ。

おもしろかったのに忘れてしまうなんて、そんなの、本を読んでいる
意味があるのかしらと思う。本がなくては息もできない、という一方で、
もしかしたら自分はもう本なんてなくても、この現実世界だけで
生きていけるのかもしれないとも思う。そう考えることは少し恐ろしい。

感情移入を手がかりに本を読むのは間違いではないが、それが最良の
方法というわけではない、という作家の言葉をずいぶん前に読んで、
ではその「最良の方法」とはなんなのだろうと、ぼんやり考えて
みるけれど、読んでいる間はそんなこと思いながら読まないから、
いつまでたってもよくわからない。そうやってまた忘れる。

思い出さないままついわたしは、忘れるすきなんてこれっぽっちも
ないほどの、めくるめくおもしろい本があらわれるのを待ってしまう。
自分の集中力のなさを棚にあげて。
いったい、読書を仕事にしている人たちはどのように集中力をみがき
つづけているのだろう。それがまったく無理なく自然なことなのだと
したら、やはりわたしは本当には、本が好きではないのかもしれない。

by shanshando | 2006-07-16 18:40


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