上々堂(shanshando)三鷹

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2007年 05月 26日

人間のいない夏

杉並区桃井の高層マンションにお住まいのイソカワさんは最近
野生化したオウムを目撃した。
三鷹市大沢にお住まいのヤマシタさんは、家の近くで狸やハク
ビシンとよく出会う。
立川の昭和記念公園には戦時中フランスから毛皮用に輸入し
たヌートリアが繁殖している。
新宿御苑を中心に群棲するインコの群れは有名で、私も何度か
目撃している。
東京の街は実は意外と野生の王国なのだ。

五月のある晴れた水曜日の朝、東京で大規模な集団失踪が起きた。
環八の外側の都内全域に住んでいる人が跡形もなく消えうせたのだ。
別に伝染病や核兵器の影響ではなく、昨日まで普通に生活していた
人たちが忽然と消えうせたのだ。
政府は慌てふためき自衛隊を出動。同地域の調査を行うがなんの
手掛かりもないまま一週間が経ち。次の水曜日、今度は環七から外
の住民が消えうせる。ある家ではトースターに焼けたてのトーストを
残したまま、またある家では浴室のシャワーを出しっぱなしにして。
人間が消えうせた町々では住民が飼っていたペットだけが取り残され、
あるものは家の中に閉じ込められたまま餌が貰えず餓死しかけていた。
衛生上の危機を感じた政府および東京都はこれらの動物の保護をや
はり自衛隊に行わせたが、あまりの数にとても収容しきれず、途中か
ら方針を変更、人間に危害を及ぼさない種については野生化を促す。
つまり屋外に遺棄することにした。

環七外側の住民が消えうせた翌日の木曜、残された都内の住民は完
全なパニック状態に陥っていた。冷静さを保つべきマスコミ各社が率先
して混乱を煽り、都内の住民は先を争って他府県に逃げ出したが、政府
および東京都はこれに対してなすすべもない。…どころか早急に政府
および自治機能を大阪・名古屋・仙台などの都市に移転させる作業を
行うことで手一杯だった。
他府県に頼るべきあてのない住民の中には、逆転の発想と開き直り、
すでに消失現象が起きた地域の空家に勝手に引っ越すものも出てき
たが、これらに対しても政府はなんら打つべき手がないまま次の水曜
日、環六を飛び越して残された東京都内全域の人々とともにこれらの
違法占拠者も消えてしまった。
消失の瞬間をなんとかカメラに捉えようとした商魂逞しい関西系の報道
各社の飛ばしたヘリも、消失の瞬間パイロットと乗員を失うことになり。
迷走のすえ墜落する映像がようやく無人の衛星によって捉えられた。
かくして、東京は無人の動物天国となったのだった………。

……という妄想を昼食のカレーを食べながら考えた。
私はモノを食べながらさまざまな役にも立たない事を想像する癖があり、
カレーのように集中してひとつの味に打ち込む食事だと特に嵌ってしまう
のだ。

人間が居なくなった後の東京で、一番繁殖する動物はなんだろう?
おそらく鼠か猫。人に飼いならされて、あろうことか改良という名の冒涜ま
で加えられた犬は、瞬く間に鼠や猫の餌となるだろう。
鼠の異常繁殖は猫によって、歯止めをかけられるだろうが、猫の天敵と
なるものはいるだろうか?
多摩動物園のライオンたちが脱走し、野生化することはないだろうか?
馬事公苑の馬たちは?井の頭の象は?絶大な繁殖力を誇る上野動物園
のカバたちが野生化し、多摩川や荒川、江戸川をスイスイ泳いでいる様は
想像するだに楽しい。
考えように寄れば、人間不在の世界で食物連鎖の頂点に立つのは植物な
のではないかと思うが、ビルや道路家屋を呑み尽くしたジャングルをオラウ
ータンやマントヒヒが闊歩しているのもなかなか良い図柄だ。
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by shanshando | 2007-05-26 14:03 | ■原チャリ仕入れ旅■


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