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上々堂(shanshando)三鷹

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2007年 06月 26日

フレッシュ!!

十年くらい前に身体の調子を壊した時、人に薦められて一週間ばかり
飲尿にチャレンジしたことがある。
朝起き抜け一番の尿を飲むと万病に効能があるということで、最初は
さすがに抵抗があったが、当時日々の不摂生が祟って若死にする友
人が多く、「くたばるか、ショーベン飲むか。」と脅されると手もなく丸め
込まれて、チャレンジすることになったのである。
「飲みにくければ、水で割って蜂蜜を溶かし、レモンを絞ると飲みやす
いよ」と云われたが、なんとなくそれは却って汚い感じが増すようで、
ここは男らしくストーレートで挑戦したところ、一線を越えれば人間な
んでも出来ないことはないと判った。
自分自身の体質にも拠るのかもしれないが、思ったほど臭気もなく、味
は若干ほろ苦い塩水というかんじ。
「なんだこんなもんか」と思うと何だか却って張りがなくなり、尿の効果か
どうかは判らないが身体も調子よくなったので一週間で辞めてしまった
が、あれは本当は継続しなければならないものなのだろう。

当時、ちょっとした飲尿ブームで、飲尿家(?)たちの間では、様々な著
名人も同類らしいとの風聞が飛び交った。
別に他の人がどうあろうと関係ないようなものだが、あの美人女優が!
とか、あのミュージシャンが!とかいう話を聞くとなんだか、ショーベンを
飲んでいないやつはみんな時代遅れ。という気がして、幸いにも時代に
乗り遅れずにいる自分が誇らしくって、自分が止した後も身体の不調を
訴える友人たちに飲尿を薦めたものだ。

当時、飲尿家たちの間で噂になった一つの話しがある。
ある地方出身の女性、彼女は十代の頃から健康を害しやすく、さまざま
な民間療法を渡り歩いた結果飲尿と出会い。以後は健康体を取り戻した。
やがて大学に入り上京し、一人暮らしするようになっても、当然毎朝の
習慣を破らなかったが、偏見をもたれることが怖かったので友人たちには
自分の習慣を敢えて明かすことはなかった。
彼女は健康体に恵まれ、明るいキャンパスライフの末、一流企業に就職
し、そこで人もうらやむような恋をした。相手は同じ会社の若手のホープ
で頭もよく、スポーツ万能。優しくて、話題も豊富。まさに彼女にふさわしい
相手であり、彼らが遠くない未来にゴールインすることを疑うものは誰もい
なかった。

ところが彼女にはひとつ気になることがあったのだ。
それは彼の異常ともいえるほどの潔癖症である。一緒に電車に乗っても
けしてつり革を持つことはなかったし、もし万一手摺などに触れようものな
ら、慌てて手持ちのウエットティッシュで手を拭う。
考え方によればキレイ好きは悪いことではないし、多少行き過ぎているに
しても不潔な人よりはずっといい。彼女は彼の癖をいい方向に考えるよう
にしたが、デートの折りされるキスの前後に歯磨きウガイを悪びれもしな
いでやることにはどうしても反感を抱かずにいれなかった。
「彼は私の飲尿を知ったらどう云うだろう?」
それを想像すると彼女は絶望的にならざるを得なかった。
潔癖症を除けば彼は申し分のない男性だったし、なにより彼女は彼を深く
愛していた。健康不安のあった十代に恋愛らしい体験をしなかった彼女に
は、彼はまさに初恋の人であり、世界で唯一の人であるかのように思えた。
「この人と別れれば、私はきっともう一生誰も愛さないだろうし、彼以外の
誰かと結婚をすることもあるまい。しかし飲尿は私のまさに生命線だ。飲尿
をやめることで彼との結婚生活の障壁はなくなるが、私の健康はあの暗か
った十代の状態に戻ってしまう。ひょっとしたら30まで生きながらえることも
難しいかもしれない。」

打ち明ける相手もいない悩みが彼女を追い詰め、日に日に痩せ衰え、ある
日彼女は自殺未遂をおかしてしまう。
大量の睡眠薬を服用して、浴室で手首を切った彼女は幸いにも、欠勤を心
配して訪れた会社の同僚に救われ、救急車で運ばれる最中付き添った同
僚に「何故こんな馬鹿なことをしちゃったの?」と問いつめられた。
同僚はともすると意識が混濁する彼女を励ますため聞いたのだが、朦朧と
している彼女はまるで叱り付ける母親にいいわけするようにこう答えていた。
「わたしがおしっこを飲んでいるのを彼に知られるのが怖かった!」

彼女は無事病院で処置をうけ、そのまま入院。見届けた同僚はさっそく彼に
電話で彼女の自殺未遂とそれに至った原因を説明した。
彼のショックは大きかった。彼も真剣に彼女を愛していたのだ。
なんとか彼女の心を救いたい。おしっこを飲むと言う行為は自分には想像を
絶する行為だけど、それが愛する人の欠くべからざる習慣である以上自分は
それを理解する必要がある。付け焼刃やフリでは駄目だ。真剣にそれを学び
それを自分のものにするまで中途半端な気持ちで彼女に会ってはいけない。
真摯な彼はその日から「そのこと」に関係する書籍を読み漁り、必要とあれば
「そのこと」を体験できる施設にも通った。それはまさに愛ゆえの闘いであった
のだ。

一週間後、退院した彼女は深い精神的なショックを受けていた。入院中、ついに
愛する彼は現れなかった。電話すらこない。何度自分からかけようと思ったか
わからないが、それは自分が全てを失ったことを確認することに相違なかった
から、病みやつれた彼女にはとてもできなかった。出社も出来ないまま半月経ち、
一月になり、するうちに彼女は再び死を考えるようになった。
そんなある夜、彼女の部屋のドアーをノックする者が居た。
「どなたですか?」力なく問いかける声にドアーの外の声はあくまで明るく、
「僕だよ!長い間待たせてゴメン。でも安心してくれ、もう僕たちの間の障壁は
取り除かれたんだ。」
間違いなく、彼の声だった!彼女は喜びいさんでドアーを開け、そこに立っていた
彼の胸に飛び込んだ!
「どうして、どうしてすぐに来てくれなかったの?」
「ごめん、ごめんよ、でももう大丈夫!僕はその何だ、君のそのナニを完全に理解
したんだ。理解だけじゃない。僕もいまや君と同じ世界の住人になったんだ。」
彼女は耳を疑った。あの病的な潔癖症の彼が自分を変えてまで私を愛してくれる
なんて!彼女は彼を信じることが出来ないで早まったことをした自分を恥じた。
「ごめんね、ごめんね」彼女は泣きながら彼にむしゃぶりついた。
「いいんだよ。それより早く中にいれてくれないか。いろいろ荷物もあることだし」
「まぁ、いやだ私ったら、どうぞ中に入って、荷物って何かしら?」
彼は重そうな黒皮の鞄を運び込んだ。
「ふふふふ、長い間気がついてあげれなくてごめんよ。このひと月あまり僕は一生
懸命勉強して体験したんだ。もうこれからは君を孤独にさせたりしないよ。ふふふ」
「ありがとう、でも勉強って?体験って?その鞄は何?」
怪訝な表情で問いかける彼女に彼はあくまでもさわやかな笑顔を送りながら、おも
むろに鞄を開いた。そこには、
SMの道具が入っていた。

by shanshando | 2007-06-26 15:33 | ■原チャリ仕入れ旅■


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