2007年 12月 05日
上々堂に、ストーブの匂いの似合う季節がやってまいりました。 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。 店番お助け人のオオツカです。 店主イシマル多忙につき、本日は急きょ店番をまかされております。 イシマルの日記を楽しみにしていた方、申し訳ありません。 しばしの間ご辛抱くださいませ。 上々堂の帳場に入るということで、久しぶりに三鷹駅に降りたちましたが、 風景とはかくも移ろいやすく、ところどころ見たことのないお店や、 建物が出現しているかと思えば、閉店した店舗は前と変わらず、 ひっそりと扉を閉ざしている。 上々堂裏口の鍵をおそるおそる開けると、石油の匂いがつんとして、 木の棚がすらりと立っている、その見慣れた感じに少々安堵。 とはいえ背表紙の変わらない本棚がないように、上々堂にもささいな変化はある。 カウンターの位置が動いていたり、円柱型の陳列塔がひっこんでいたり。 お客様のいない上々堂の帳場で、じっと本と向かいあういまこのときも、 少しずつ建物は朽ちて人は老いて、否応なく時間が過ぎていくなかで、 変えてはいけないものを見きわめる目をそだてて、変えてはいけないものを 変わらずにとどめておこうとすることが、この先本当に希少なことになるのだろうと いう気がします。 その変わらない感じ、をある種のいわゆる「少女マンガ」に強く感じることと、 ゆえにわたしが少女マンガを読むのをいまだにやめられないことは 余談でありますが、最近つらつらとよく考えているテーマのひとつであります。 また、いまわたしが読んでいる保坂和志『「三十歳までなんか生きるな」と思っていた』は このタイトルに見向きもしない人と、うっ、となって気づけば手に取っている人と おそらくきっぱりと二手に分かれると思いますが、もちろんわたしは後者で、 タイトルでうっとなった方はおそらく読むともっとううっとなります。わたしはまだ 読み終えてはいませんが、最近ぼんやりだった物事の見え方が、少したしかに なったような気がしました。 うつろう季節のはやさについていけない人におすすめです。 というわけで、なんだか説教くさい日記になりましたが、上々堂も、ついでにわたしも 元気です。電車の中などはセーターを着ていると暑いほどですが、通りはやはり 冷えますので、駅から少々遠い上々堂へは着脱可能な洋服をお召しになっての ご来店をおすすめします。どうかみなさまおからだ気をつけて。いつかまた お会い出来ますよう。
by shanshando
| 2007-12-05 17:32
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