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上々堂(shanshando)三鷹

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2008年 02月 15日

おコツのあんかけ

「おコツのあんかけ」という言葉が思わず頭にひらめいた。
なんなんだろう?
たぶん上方落語で聴いた言葉だと思うのだけど、おコツを
あんかけにするというのは、どこから来た発想なんだろう?

火曜日の夜上々堂に移動してから全身にふるえがきて、すこしめまい
も伴いだした。
次の日水曜日は吉祥寺で出張買取の予定、これがなかなか時間的に
厳しい約束で、変更をお願いしづらい、これはもう無理にも今夜中に
治さざるを得ないと、お客が途絶えた九時半に店を閉め、本当なら
タクシーで帰るべき体調だが、明日の買取を考えるとそうもならず、
寒空をバイクで帰宅、着いた時には顔は死人のように青ざめ、熱は
38度9分、即座に買い置きの葛根湯を飲み、布団にくるまるが間接痛
と腹痛吐き気で眠れず、明け方からは水便が5分おき、
病院が開くとともに注射を打ってもらってなんとかしのごうといつもの
クリニックに飛び込むが今日も今日とて元気なお年寄りたちが開院前
から列を作っており、漸く順番が来たのは買取の約束の30分前、これ
では点滴を受けている暇はなく、筋肉注射だけ打ってもらい現場へ直行。
現場は今は無住になった医院で、亡くなった医師の方の個人的な蔵書
の整理なのだが、ひょっとしたら私のこの苦しみは大事な蔵書を処分
される事へのその方の恨みのあらわれかと疑うが、拝見した棚に残った
全集ばかりの山は明らかにBOOKOFFの食い荒らし後。
これなら、恨みはBOOKOFFに行くのが筋で、そのBOOKOFFも見捨
てた山を何がしかにでもして、役立てようとする当方は恨まれる素性に
あらず。
無住のため冷房もなく、熱は時間を追ってあがって行くのがわかるので
ついに私もこれまでか……。
「あの、お約束だったので伺ったのですが、実は私昨日から風邪をひき
まして……」
恐る恐る依頼者である、医師の娘さんに切り出してみると、
「ああそう、それでもう直られたというわけね。」
私は一言も直ったなどとは言わないのに、即断でそう言い切られてしまった。
その言葉のうちには「あんた、まさか私にもう一度ここに出なおせと言うんじゃ
ないわよね!」という恫喝の響きがある。
やがてメールで送ったSOSに答えて澄子氏が救援に駆けつけてくれたから
事なきを得たが、一時は死ぬかと思った。
その日は店番も勘弁してもらい、帰宅して金曜の朝まで殆ど食事をとらずに
ひたすら眠った。
私の家系は父方も母方も食い意地が張っており、亡父や祖父ももう末期になる
まであさましく食べ続けていたが、私も滅多なことでは食欲をなくすことがない。
その私が水曜の朝から金曜の朝まで食べた食事がトータルでようやく粥ひと椀
だったのだからウィルスの猛威の推して量るべきところだろう。

さて金曜、つまり今朝はまた買取である。
古本屋たるものデートの約束はすっぽかしても、買取の約束はすっぽかしては
いけない。朦朧としながら、上連雀のお宅に伺うとこれがエレヴェーターなしの
マンションの3階、ダンボール7箱を死ぬおもいで運びおろして上々堂へ運ぼう
とすると、上連雀もこのあたりは一通が複雑に絡み合っていて、中々目指す
連雀通りに出られない。迷路に迷い込んだようなものである。あせりにともなって
また腹が差し込んでくるし、目も眩む。散々グルグル迷った挙句見つけたのが
墓地の間を抜ける道。ほぼ二日間の絶食に近い状態で頬が痩せこけ、眼窩が
落ち窪んだ私が、三輪バイクに跨って墓地を抜けていくさまは、さながら地獄の
府は閻魔飯店のケータリングおじさん。

by shanshando | 2008-02-15 14:34 | ■原チャリ仕入れ旅■


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