上々堂(shanshando)三鷹

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2008年 02月 16日

ハバロフスク晴れ

「空がねぇ、ちょうどあんな色なんだ。」
そう言ってAさんはコバルト色に晴れわたった空を指差した。
「空が高くってねぇ、それで気温は零下2~30度なんだから。」
場所は三鷹のスーパー丸正の裏あたりのAさん宅のお庭、
庭の一部が耕されていて、春に咲く花の準備だろうか、
気取りも衒いもない、ただ隅々まで入念に丹精されたかんじの庭
で、その一隅にある物置に仕舞われた蔵書の整理をしていると
古びたダンボールからソヴィエト時代のハバロフスクの絵葉書が
出てきて、それで話題が手元の書物の山から極東の町に飛んで
しまったのだ。

「とにかくねぇ、ソヴィエトが崩壊して何もかもつまらない街になって
しまった。オイルマネーで金持ちになっちゃったから、古いものは
全部壊しちまってね。どこもかしこもアメリカナイズだ。」
お年は見た感じ80代にもなられるだろうか?
毎週健康体操に通われていて、心身ともに壮健な感じのするご老人だ。
「シベリアへは?」
「仕事ですよ、しょっちゅう行っていたんだ。新潟から1時間半だからね。」
「お役所関係ですか?」(学者さんのようにも見受けられたので)
「いや、会社ですよ。」
年齢からして引退されてからの時間は短くないはずなのに、最近のロシア
情勢にも詳しそうだ。
街で見かけたらごく普通のご老人に見えるAさんとたまたまこうした会話が
できたのも私が古本屋だからで、味わえばまだまだ味わいどころのある商売
なのだ。

「そう本当に今日の空みたいな色なんだ。」
Aさんはくりかえしもう一度言われた。
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by shanshando | 2008-02-16 16:53 | ■原チャリ仕入れ旅■


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